シログチ（白愚痴、白口）は、スズキ目・ニベ科・シログチ属に分類される海水魚。
かつては、ニベ科の魚類は頭骨内にある石のような耳石（平衡石）が非常に大きく特に目立つため、イシモチと呼ばれた。　同じ科に属するニベとシログチは混同されやすいが、生鮮魚介類の流通過程において 「イシモチ」といった場合にはシログチを指すのが一般的である。　一方で、分類上はまったく違う種類であるテンジクダイ科の魚も耳石が大きいため、和名の中に「イシモチ」（石持、石首魚）とついている ものが多い。　近年はスキューバダイビングやアクアリウムの趣味の普及のため、ダイバーやアクアリスト向けの図鑑などを通じて熱帯で美しい色彩を持つテンジクダイ科のイシモチの方の知名度が高くなっている。　 そのため、最近の魚類図鑑などではシログチの名のほうを使うことが多くなっている。

成魚の全長は４０ｃｍに達する。　頭は丸みを帯び、やや細長く側扁する。

釣り上げられた時や産卵期に浮き袋を振動させ「グーグー」と鳴く様が、愚痴を言っているかのように聞こえるため、別名グチとも呼ばれる。　その中でも体色の白みが強いため、シログチとなった。　 体色は銀白色でニベのような小黒色斑点列は体の側面に見られない。

宮城県以南，朝鮮半島西岸，渤海，黄海，東海に分布する。　内湾から大陸棚の水深２０〜１４０ｍの砂泥地に生息する。 産卵は初夏から夏に海域で行われる。　仔稚魚は沿岸の水深２〜５ｍ前後の浅所に出現し、河口域にもみられる。

食性は肉食で、エビ類，シャコ類，カニ類，端脚類，小型魚類，イカ類を捕食する。

春から秋にかけて行われる胴付き仕掛けの投げ釣りや、通年で船釣りの対象魚となる。　 東京湾の汚染が顕著になり、釣り魚が激減したときでもよく釣れて人気があったのが本種である。　三浦半島でも有数の深い湾である金沢八景でも多くの遊漁船がでていた。　

独断と偏見の評価：★★★

調理法としては塩焼き等、焼き物が一般的であり、身が柔らかい魚で小骨も多いため、煮つけや鍋にすると食べにくいとされる。　また、秋から冬にかけての脂ののったシログチは新鮮なものを刺身にすると 素晴らしく美味いと言われ、一部釣り人や料理人の間で珍重されるが、通常市場に出回るものは、野締めで一日以上経過したものが多く脂に臭みが出てしまい刺身には向かない。

鮮魚以外にも練り製品としての流通があり、こちらも非常に重要。　練り製品の原料としては常に安定して高値。

韓国でもシログチ（韓国名：ボグチ）はニベ科の中でも釣りの対象魚として人気。　しかし、味は余り美味しくないとされて人気がないが、亜種であるキグチ（韓国名：ジョギ）は、味が非常に美味しくて 昔から人気の魚である。　シログチと同じく身の柔らかいキグチは主に干物にして食べる。　１９７０年代までは黄海の北部まで回遊するキグチの量が多く、漁も繁盛した。　当時、安い魚だったが、回遊が なくなった後から高級魚とされており、干物は贈答品の定番になっている。