【概 要】 |
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ブリ(鰤)は、スズキ目・アジ科・ブリ属に分類される海水魚。
北西太平洋に生息する回遊性の大型肉食魚である。 日本では重要な食用魚であり、各地の文化や産業に深く関わる。 |
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【特 徴】 |
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成魚は最大で全長150cm・体重40kgの記録があるが、通常は全長1m・体重8kg程度までである。 体は前後に細長い紡錘形で、あまり側扁しない。
背は暗青色、腹は銀白色で、その境の体側には黄色の縦帯がある。 体表には細かい鱗がある。
大きさによって呼び名が変わる出世魚でもある。 日本各地での地方名と併せて様々な呼び方をされる。
●関東 : モジャコ(稚魚)→ワカシ(35cm以下)→イナダ(35-60cm)→ワラサ(60-80cm)→ブリ(80cm以上) ●関西 : モジャコ(稚魚)→ツバス、ヤズ(40cm以下)→ハマチ(40-60cm)→メジロ(60-80cm)→ブリ(80cm以上) ●北陸 : コゾクラ、コズクラ、ツバイソ(35cm以下)→フクラギ(35-60cm)→ガンド、ガンドブリ(60-80cm)→ブリ(80cm以上) |
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【生 態】 |
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南は東シナ海・北はカムチャツカ半島・東はハワイまでの北西太平洋に分布する。
主な生息域は日本海南部と北海道南部-九州の太平洋岸である。
通常は群れを作り、やや沖合いの水深100m程度の中層・底層を遊泳する。 季節によって生息海域を変える回遊魚でもあり、
春から夏には沿岸域に寄って北上し、初冬から春には沖合いを南下する。 但し温暖な南方海域では回遊せずに所謂「瀬付き」になるものもいる。
性質は臆病で、驚くと群れごと深みに逃げこむ。 食性は肉食で、主に小魚を捕食するが、甲殻類や頭足類も捕食する。
ブリの産卵期は東シナ海南部で2〜3月、九州近海で4〜5月頃である。 産卵は能登半島・房総半島以南の、水温20℃前後の温暖な海域で行われる。
卵は直径1.2〜1.4mmの球形分離浮遊卵で、受精後48時間程で孵化する。 卵と仔魚は表層でプランクトンとして発生・成長する。
春、全長数cmになった稚魚は流れ藻に寄り添って生活するようになる。 この時期の稚魚は金属光沢のある黄褐色の体に赤褐色の横縞が6〜11条入っており、成魚とは体色が異なる。
この稚魚は日本各地で「モジャコ」(藻雑魚)と呼ばれ、養殖業従事者はこの稚魚を捕獲して養殖用種苗とする。
流れ藻に付いた稚魚はおもに小型甲殻類を捕食するが、成長すると小魚を多く摂るようになる。 夏には流れ藻から離れ、沿岸でイワシ類等の小魚を捕食しながら生活する。
秋に外洋へ泳ぎ出て本格的な回遊を始める。 成長は、1歳32cm・2歳50cm・3歳65cm・4歳75cm前後と推移する。
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【その他】 |
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標準和名「ブリ」については、江戸時代の本草学者である貝原益軒が「脂多き魚なり、脂の上を略する」と語っており、「アブラ」が「ブラ」へ、さらに転訛し「ブリ」となったという説がある。
漢字「鰤」は「『師走(12月)』に脂が乗って旨くなる魚だから」、または「『師』は大魚であることを表すため」等の説がある。 他にも身が赤くて「ブリブリ」しているからといった説がある。
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【釣果記録(抜粋)】 |
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【料 理】 |
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独断と偏見の評価:★★★★★
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旬は産卵期前で脂が乗る冬とされており、日本ではこの時期のブリを特に「寒ブリ」と呼ぶ。
寒ブリは同属種のカンパチやヒラマサよりも脂肪が多く、独特の風味がある。 但し産卵後の春には脂肪量が減少する。
料理法は幅広く、刺身、たたき、寿司、しゃぶしゃぶ、味噌漬け、焼き魚(照り焼き、塩焼き)、煮魚(ぶり大根)等で食べられる。
出世魚で縁起が良いこともあり、西日本では御節料理に欠かせない食材とされている(東日本ではおもにサケを使用する)。 また、特に富山県や石川県では、かぶら寿司の食材として
使用されることもある。
沿岸近くで釣れる「ワカシ」「イナダ」は「ブリ」ほど脂は乗っていないが、その反面、身のプリプリ感、弾力は「ブリ」のそれを上回る。
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