CG−47 Ticonderoga
(タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦)
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(Ticonderoga Class guided missile cruiser)は、アメリカ海軍艦隊防空システムの総決算であるイージスシステムを初めて搭載した大型戦闘艦である。
1番艦タイコンデロガは1983年に就役し、1994年までに同型艦27隻が就役した。米海軍の巡洋艦としては、クリーブランド級軽巡洋艦と並び最多建造数を誇っている。現在ではアメリカ海軍が
保有する唯一の巡洋艦となっている。
冷戦期にソビエト海軍が計画した対艦ミサイルの飽和攻撃から機動部隊を防御するためにスプルーアンス級駆逐艦の船体を流用して開発された。従来の広域防空艦(エリアディフェンス艦)が、 同時に1〜2発の対空ミサイルしか誘導できなかったのに対し、タイコンデロガ級に搭載されたイージスシステムは16ないしそれ以上の目標への同時対処が可能になるなど画期的な性能を持つ。 タイコンデロガ級は現在のところ最も防空能力に優れた水上戦闘艦であるといえる。なお、駆逐艦の船体を持つことから計画当初はミサイル駆逐艦に分類されていたが、同時期の巡洋艦よりも 強力な駆逐艦という矛盾を避けるため、ミサイル巡洋艦に艦種変更された。 スプルーアンス級からの船体流用はコスト面からは歓迎されたが、イージス防空システムを積み込むにはやや手狭で、フェーズドアレイレーダーの設置箇所の分散、上部構造物のトップヘビー といった問題を生じた。特に重心の上昇は初期型艦の就役後になってからその問題の深刻さが浮き彫りになり、部材の変更や四脚マストの三脚化といった事後改装で軽量化に努めた。 VLS搭載の無い5番艦までが旧式化、最優先の退役の対象とされ、4番艦ヴァリー・フォージが2004年8月30日、最初の退役となった。ネームシップであるタイコンデロガも9月30日付で退役した。 本級は4つのサブタイプに分けられる。初期型である1〜5番艦はベースライン1、Mk.41VLSを搭載した6〜12番艦はベースライン2、AN/SPY-1Bレーダーを搭載した13〜18番艦はベースライン3、 AN/SPY-1B(D)を搭載した19〜27番艦はベースライン4と称される。ベースライン1のうち3〜5番艦は重量軽減対策が施されているため、1,2番艦を特にベースライン0と分類する例もある。 [同型艦] 《ベースライン0》 ・タイコンデロガ (USS Ticonderoga, CG-47) 2004.9.30退役 ・ヨークタウン (USS Yorktown, CG-48) 2004.12.3退役 《ベースライン1》 ・ヴィンセンス (USS Vincennes, CG-49) 2005.6.29退役 ・ヴァリー・フォージ (USS Valley Forge, CG-50) 2004.8.30退役 ・トーマス・S・ゲイツ (USS Thomas S. Gates, CG-51) 2005.12.14退役 《ベースライン2》 ・バンカー・ヒル (USS Bunker Hill, CG-52) ・モービル・ベイ (USS Mobile Bay, CG-53) ・アンティータム (USS Antietam, CG-54) ・レイテ・ガルフ (USS Leyte Gulf, CG-55) ・サン・ジャシント (USS San Jacinto, CG-56) ・レイク・シャンプレイン (USS Lake Champlain, CG-57) ・フィリピン・シー (USS Philippine Sea, CG-58) 《ベースライン3》 ・プリンストン (USS Princeton, CG-59) ・ノーマンディー (USS Normandy, CG-60) ・モンテレー (USS Monterey, CG-61) ・チャンセラーズヴィル (USS Chancellorsville, CG-62) ・カウペンス (USS Cowpens, CG-63) ・ゲティスバーグ (USS Gettysburg, CG-64) 《ベースライン4》 ・チョーシン (USS Chosin, CG-65) ・ヒュー・シティ (USS Hue City, CG-66) ・シャイロー (USS Shiloh, CG-67) ・アンツィオ (USS Anzio, CG-68) ・ヴィックスバーグ (USS Vicksburg, CG-69) ・レイク・エリー (USS Lake Erie, CG-70) ・ケープ・セント・ジョージ (USS Cape St. George, CG-71) ・ヴェラ・ガルフ (USS Vella Gulf, CG-72) ・ポート・ロイヤル (USS Port Royal, CG-73) |
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艦 歴(Ticonderoga) |
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起工 | 1980年1月21日 |
進水 | 1981年4月25日 |
就役 | 1983年1月22日 |
退役 | 2004年9月30日 |
仕様・諸元 |
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排水量 | 満載排水量:約9,600 t |
全長 | 173 m |
全幅 | 17 m |
喫水 | 10 m |
機関 | ゼネラル・エレクトリックLM 2500 ガスタービン4機, 2軸(80,000 shp) |
最大速 | 30ノット以上 |
航続距離 | |
乗員 | 387 名 |
兵装 | ・Mk 26スタンダード/アスロック発射機 × 2基 ・Mk-141ハープーン四連装発射機 × 2基 ・5インチ単装砲 × 2門 ・12.7mm連装機関砲 × 4門 ・20mmファランクスCIWS × 2基 ・Mk 32短魚雷 3連装発射管 × 2基 |
艦載機 | SH-2 シースプライト × 2機 |