X−29(グラマン社)



 X-29はアメリカのグラマンエアロスペースによって2機が製作された実験用航空機である。X-プレーンズのひとつ。前進翼をはじめとする多くの新技術を実証した。

 一見してわかる最大の特徴は前進翼とカナードである。この組み合わせは必然的に空気力学的不安定さをもたらすため、フライ・バイ・ワイヤーによる飛行制御情報の 修正を、最大で1秒間に40回も必要とする。また、主翼に充分な剛性を持たせ、かつ軽量に仕上げるために、先進的な複合材成型技術(空力弾性テーラリング)も必要とした。 この不安定さゆえに優れた旋回性能を期待された。

 グラマンエアロスペースによって2機のX-29Aが製造されたが、この機体は製造コストを低く抑えるために、前部胴体はF-5、降着装置(脚部)はF-16、エンジンはF/A-18、油圧系は A-6からと、かなりの部分を現用機より流用し作成されている。初飛行は1984年、その後10年以上に渡って試験が続けられた。1985年12月13日に、2機のうち1機が、前進翼航空機による 初の超音速水平飛行を達成した。X-29Aは、迎え角45度までの間で、優秀な操縦性と機動性を実証することとなった。

 なお、飛行制御システムは、3重の冗長性を備えたデジタルコンピュータによるものであり、バックアップとして3重のアナログコンピュータを備えていた。システム全体としての 不具合発生率は、通常航空機の機械的な不具合発生率と同等レベルで見積もられた。
仕様・諸元
全長 14.66 m
全幅 8.29 m
全高 4.3 m
空虚重量 6,170 kg
発動機 GE製 F404-GE-400 × 1
最高速度 1,930 km/h
航続距離 不明
武装 ・実験機のため武装なし