EF−111(グラマン社)



 EF-111AはF-111を元に開発された電子戦機である。正式な愛称はレイブン(ワタリガラス)、非公式な愛称としてはスパークバーグとも言われる。

 1970年代初めアメリカ空軍は旧型のEB-66を電子戦機として使用していたが、海軍がEA-6Bを採用したのを受け後継機の採用に乗り出した。 当初EA-6Bの採用も考えられたが能力的に不十分であったためF-111Aをもとに電子戦機を開発することとされた。EF-111Aの製造にはゼネラル・ダイナミクスとグラマンが名乗りを 上げ検討の結果1975年にグラマン案が採用された。 EF-111Aに搭載する電子妨害装置はEA-6Bに搭載されていたものの改良型であるAN/ALQ-99Eを使用することとされたため、それに関する開発期間は短く機体形状の変化による空力 特性の研究に時間が費やされた。

 乗員はF-111Aと同じ2名でWSO(兵装システム士官)の代わりに電子システムを扱うEWOが乗る。AN/ALQ-99EはEA-6Bと基本的な能力は変わらないがEA-6Bが乗員4名であるのに 対してEF-111Aは2名であるためなるべく自動化が図られており能力的にはほぼ同等である。同じ電子戦機であるEA-6Bとは違いAGM-88 HARMなどの対レーダーミサイルは使用 できない。またEF-111AはすべてF-111Aからの改造で新規での生産は行われていない。生産数42機。

 空軍唯一の電子戦機として湾岸戦争などで活躍したが、維持費がかさむため1998年に退役。アメリカ空軍はEF-111Aの後継機を開発していなかったため現在空軍には専用の 電子戦機は存在しておらず電子戦は海軍や海兵隊のEA-6Bに頼っている。