E−3(ボーイング社)



 E-3はボーイング社が製造した早期警戒管制機(AWACS機)である。愛称は歩哨・哨兵・見張りの意味をもつセントリー(Sentry)。

 アメリカ軍は、大型の航空機にレーダーを搭載した空中早期警戒に高い関心を持っており、早い時期から早期警戒機を運用していた。 ベトナム戦争の時期には、機体の搭載容量の関係から、早期警戒(空載レーダー)にはEC-121、指揮統制にはEC-130というように別々の機体を使用していた。 これは非効率的で総合的な早期警戒管制能力も低い為、二系統に別れていた早期警戒と指揮統制機能を合わせ持つ機体としてE-3が開発された。

 開発に当たっては、ボーイング707-320を母体として利用している。後部胴体の上に二本の支柱に支持された円盤状のレーダードーム(直径9.1m、厚さ1.8m)を 搭載していることが外見上の大きな特徴である。大きなレーダードームを追加しながら、特に垂直尾翼の形状変更などの飛行安定性向上策は特に取られておらず、 実際にも飛行特性への影響はほとんどないといわれる。 強力な電磁波を発生させるレーダーを装備する特性上機体には窓がほとんどなく、数少ない開口部である 操縦席の前面風防には対電磁波防護を施したものが使用され、機体外壁や乗降ハッチ(ドア)等も対電磁波防護の施された分厚いものになっている。 その他には、空中給油装置の付加や発電機の能力向上が行われている。

 初飛行は1975年。アメリカ空軍へは1977年から就役している。アメリカ空軍のほかは、NATOの共同運用のほか、エンジンをゼネラル・エレクトリックとスネクマ共同開発に よる新世代のCFM-56に変更した機体がイギリス空軍、フランス空軍、サウジアラビア空軍で使用されている。

 母体として利用しているボーイング707の生産数にはこのE-3として製造されたものも含まれており、1981年以降は海軍向けのE-6と共に軍用型しか生産されなくなっていたが、 同機は1991年をもって生産終了となり、この後の導入を検討していた日本の航空自衛隊向けには別の母体が必要になった。 航空自衛隊ではボーイング757とボーイング767を比較検討した結果、ボーイング767が選ばれてE-767として製造されている。
仕様・諸元
全長 46.62 m
全幅 44.42 m
全高 12.73 m
空虚重量 73,480 kg
発動機 P&W TF33-PW-100A ターボファン × 4
最高速度 855 km/h
航続距離 9,250 km
武装 ・搭載不可
・チャフ・ディスペンサー × 4
  (エンジンパイロン部に各1基。スタンダードE-3A、E-3C)
・ECM機材搭載可能(スタンダードE-3A、E-3C)