B−58(コンベア社)



 B-58とは、コンベア社が開発しアメリカ空軍に制式採用された戦略爆撃機で、愛称はハスラー(Hustler)である。

 アメリカの大量核報復戦略に基づいて作製され、ソ連及びワルシャワ条約機構の防空網を高高度から高速で突破して核攻撃を行なう、アメリカ空軍としては 初の超音速爆撃機として採用された、マッハ2の快足を誇るデルタ翼航空機である。初飛行は1956年11月11日。

 その後1960年には実戦配備がなされたものの、アメリカ軍の大量核報復戦略の一部転換(大陸間弾道ミサイルへのシフト)や運用コストの高騰、運用中に トラブルが多かったことや整備性の悪さ、ボーイングB-52程の汎用性がなかったことから登場から10年程度の1969年には全機が退役した。 アメリカ空軍内では、1965年から本格化したベトナム戦争への投入も検討されたが、当時最新鋭の機体が撃墜されることのマイナスイメージを懸念した マクナマラ国防長官の反対で実現しなかった。このため一度も実戦へ投入されずに引退した。なお、1964年3月のアラスカ地震の時には被害状況を撮影するために 2機が出動した。

 実際の作戦に投入されなかったこともあり、本機が果たして傑作機であるかどうかの議論が時折発生する。しかしながら、超音速爆撃機というこれまでに なかった最新鋭機の存在が、当時アメリカに対峙していたソビエト連邦に対して多大な脅威を与え、超音速爆撃機に対応した防空網の整備に莫大な支出を余儀無く させたことを考えれば、あながち無駄であったとは言いがたいという評価は多い。

 後退角60度のデルタ翼を持つ。エンジンは、主翼にポッド式に4基搭載している。武装は胴体下部にポッド式投棄型爆弾庫を搭載し、そこに収納した。 ポッド式投棄型爆弾庫を搭載するために着陸脚は長いものとなってしまっている。 脱出方式も独特で、脱出カプセルであった。アメリカ初の超音速爆撃機であることもあり、様々な新機軸が投入されているために当時としては非常に高価な 機体となっている。

[ 派 生 型 ]
・XB-58:試作機 2機製造
・YB-58A:前量産型 11機製造
・B-58A:量産型
・RB-58A:偵察機型
・TB-58A:訓練型
・NB-58A:試験機
・B-58B:計画のみ
・B-58C:計画のみ
仕様・諸元
全長 17.32 m
全幅 29.49 m
全高 9.12 m
総重量 73,900 kg
発動機 J79-GE-5B × 4
最高速度 M 2.1
航続距離 2,084km
武装