B−52(ボーイング社)
B-52とは、ボーイング社が開発しアメリカ軍に制式採用されたジェットエンジン装備の大型戦略爆撃機である。愛称はストラトフォートレス(Stratofortress)また、
ベトナム戦争では、"死の鳥"と恐れられた。機齢が40年を越える老朽機にもかかわらず、2007年時点でもアメリカ軍の一線で活躍中である。
アメリカ軍は時速500km、航続距離8,000kmを超える大型爆撃機の検討を1945年から行っていた。ボーイング社においても大型爆撃機の検討を行い、1946年に ターボプロップエンジンを6基搭載しているモデル462案を軍に提案している。この案が軍に採用され、XB-52として開発が開始された。モデル462案は、間もなく修正が加えられ、 エンジンを4基に変更したモデル464案となっている。その後も核兵器運用能力の追加などの改良が加えられ、1946年中にモデル464-16案や464-17案が検討された。さらに、 空中給油能力などの改良が加えられ、1948年10月にはターボプロップエンジンを取りやめ、後退翼とジェットエンジンを装備したモデル464-49案が作成された。モデル464-49案を 改良したモデル464-67案を基に試作機の製造が開始された。 初飛行は1952年。自由落下型の核爆弾を搭載し、共産圏諸国を攻撃するために作られた。いくつもの改良型が開発されており、初期のA型から後期のH型まである。初期型は 自由落下爆弾しか搭載しなかったが、後期型のG型・H型においては、空中発射型の巡航ミサイル(当初はハウンド・ドッグ、後にSRAMやALCM。いずれも核弾頭装備)を主武装 として搭載していた。また、初期型のターボジェットエンジンから後期型はターボファンエンジンとして航続距離の延長も図られた。これらの兵器・性能をもとにアメリカは、 全面的な核戦争の勃発に備え、複数のB-52を常に滞空させて、いつでも共産圏に核攻撃を実施しうる「戦略パトロール」を1950年代から実施していたが、1991年のソビエト連邦の 崩壊に伴い現在は廃止している。 B-52には、更に攻撃力を強化するため空中発射弾道ミサイル「スカイボルト」を搭載する計画もあったが、技術的困難のため1962年に中止された。以後は、潜水艦発射の 弾道ミサイルや巡航ミサイルの発展で、この種の計画の検討は無い。 B-52は、核爆弾や核ミサイルを通常爆弾や通常弾頭ミサイルに換えて多くの戦争に参加している。ベトナム戦争などでは無誘導爆弾を使用し絨毯爆撃を行っていたが、 湾岸戦争では無誘導爆弾の使用は一般市民への被害が大きいとされ、B-52は巡航ミサイルを使用した攻撃を行った。その後GPS/INS誘導爆弾(JDAM)が開発されB-52はそれを 装備することにより精密爆撃が可能となった。2001年のアフガニスタン侵攻および2003年のイラク戦争ではディエゴガルシア島から発進し、JDAMを使用して爆撃を行った。 これらの戦争において、滞空時間が長く、多量の爆弾を搭載できるB-52爆撃機の存在は、高い評価を受けた。 技術的には近代化改装を施しているものの3〜4世代前の技術が基礎となっているが、成熟した技術が兵器として最も重要な信頼性に結びついており、戦略・戦術両面に おける評価は高い。 B-52は、今後も延命措置などを行い、2045年まで使用する予定である。その最たるものとしては、エンジン換装計画があり、これは主に航続距離の増加を狙ったものといわれる。 この計画の候補として現在と同じ8つのエンジンにするというものと、4つのエンジンとするものが上がっている。 |
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仕様・諸元 |
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全長 | 48.5 m |
全幅 | 56.4 m |
全高 | 12.4 m |
空虚重量 | 83,250 kg |
発動機 | P&W社製 TF33-P-3 ターボファン・エンジン × 8 |
最高速度 | 955km/h |
航続距離 | 約16,000km |
武装 | ・M61 20mm機関銃 × 1(尾部) ・AGM-69A空対地ミサイル または AGM-86B巡航ミサイルを20基 ・通常爆撃任務では227kg の Mk82自由落下爆弾を胴体内に 84発、翼下に 24発搭載可能 |