T−50(スホーイ設計局)



 T−50(またはI−21)は、ロシアのPAK FAの一環で開発された第5世代戦闘機である。  「PAK FA」とはPerspektivnyi Aviatsionnyi Kompleks Frontovoi Aviatsiiの略で、 戦術空軍向け将来戦闘複合体を指し、ロシア空軍で旧式化しつつあるMig−29 や Su−27 の代替となる戦闘機を 開発するI−90計画に変わって開発・製造される第5世代ジェット戦闘機の開発計画である。

 LFS計画中止の直後に後継計画として2001年に開始され、ミコヤン、スホーイの設計局がデザイン案を提出し、 競合の末2002年4月26日にスホーイ案が採用された。 敗れたミコヤンと、開発パートナーに指名された ヤコヴレフは製造の15%を受け持つのみとなった。 開発機の名称はI−21、あるいはスホーイ内部の設計名称でT−50と呼ばれ、 アメリカ軍のF−22やF−35の実用化に対抗すべく、実機の2009年の初飛行を予定していたが若干遅れ、 2010年1月29日に無事に初飛行を果たした。

 スホーイが提出したT−50案は、正式なものか不明だが尾翼やテイルコーンを除き、F−22に酷似しているといわれ、 航空関係者などの討論や議論の対象となっている。 公表されている完成予想図の機影は、主翼はF−22と同じく前縁に後退角、 後縁に前進角を兼備する大型テーパー翼であるが、前縁後退角がはるかに大きく、デルタ翼に近いイメージになっている。

 T−50の仕様に関する信頼できる情報はまだ少ないが、アメリカのF−22に対抗するために高度なステルス性と、 サトゥールンAL−41ターボファンエンジン2基の搭載によってアフターバーナー無しでのスーパークルーズの 実現を目指していると伝えられる。 また、Su−47と1.44の技術を取り入れていると言われている。  ノズルは推力偏向式でそれぞれ左右に±16度、上下に±20度ずつ可動し、高い空中機動性を発揮するともいわれる。

 また、ロシア空軍などの関係者によると、機体には複数の空対地ミサイル、空対艦ミサイルを搭載でき、 レーダーには1500個の素子で構成され、首振り可能な構造にしたAESA(Active Electronically Scanned Array:アクティブ式電子走査アレイ) を組み込み、これは空中32目標同時捕捉、8目標同時交戦を可能にするとみられている。

 2010年1月29日に試作機の初飛行に成功。 2010年6月にはプーチン首相がT−50を2016年に配備することを決定した。
仕様・諸元
全長 22 m
全幅 14.8 m
全高 5.45 m
空虚重量 -
満載重量 -
発動機 2基
最高速度 M 2.45
航続距離 約2,000 km
実用上昇限度 20,000 m
最大離陸重量 37,000 kg