S−47(スホーイ設計局)



 Su-47(Су-47スー・ソーラク・スィェーミ・ビェールクト) は、ロシアのスホーイ設計局が自社予算で開発した実験的なジェット戦闘機である。 前進翼にカナード・尾翼を備えるという奇抜な構成を採用している。愛称の「ビェールクト」(Беркут)はイヌワシのこと。

 S-37として開発が始まり、1997年に初飛行、2000年にSu-47に名称が変更された。 Su-47は、ロシア空軍向けの第5世代の戦闘機として開発されたとされる。そのため、ステルス性を備えた機体と言われることが多い。 だが、これまでロシアは、ソ連時代も含めてステルス機を製造したことがないし、そもそもスホーイ社が公式にSu-47をステルス機と表現した ことはない。逆に前進翼・カナードについては、むしろステルス性を損なう機体形状である。航空ショーへの出展時には、機体区分として単に マルチロールファイターとして申請している。 仮に、ステルス性の要素があるとしても、この機体の基本形状の範囲で無駄を省く努力をした という意味合いだと思われ、第5世代という区分に関しても、第4世代と評されたSu-27系の基本設計をほぼ全く受け継がず、空力的な機体構造を 新規設計した点がスホーイ社の社内に置いてSu-27系(第4世代)の次の世代、すなわち第5世代と表現されているだけだと思われる。

 搭載兵器は、固定武装として30 mm機関砲GSh-301を採用すると見られている。 そのほか、主兵装としては新しい中距離レーダー誘導空対空ミサイルR-77(RVV-AYe)を搭載するとされている。 また、1997年にモスクワで開催された航空ショーMAKS-97では、赤外線誘導空対空ミサイルR-73から開発された新型の空対空ミサイルK-74を搭載し、 デモンストレーションを行った。 これ以外にもマルチロール戦闘機として、地上目標を攻撃するための空対地ミサイルや早期警戒管制機を 攻撃するための長距離ミサイルKS-172も搭載するとされる。

 F-22やF-15といったアメリカ空軍の機体に比べて機密レベルは高度であり、スペックについて公表されている部分は非常に少ない。 ただ、航空ショーには比較的よく参加していたり、スホーイ社の広報映像でも、機体の製作途中やテスト風景はそれなりに公開されており、 機密なのか、それとも自主開発のプロトタイプゆえ、単に実際の運用主不在だから、細かいスペックが決まっていないだけなのかはハッキリしない。 1990年代以降、ロシアでは予算不足のため次期戦闘機の計画が頓挫してしまい、MiG-1.44同様、1機の試作機が製作されたのみで、 Su-47の実用化への動きはなかった。 兵器ショー・航空ショーなどでは、マルチロールファイターとして飛行展示を行ったり、 ブースに模型を展示するなどして売り込んではいるが、Su-27系の機体の契約の方が盛んであり、Su-47に関しては、あまり営業の成果は芳しくない ようである。
仕様・諸元
全長 22.60 m
全幅 16.70 m
全高 6.40 m
空虚重量 24,000kg
発動機 リューリカ設計局製D-30F6×2
最高速度 M2.1
航続距離 3,300km
武装 GSh-301 30 mm機関砲×1
R-77(RVV-AYe)(中距離レーダー誘導空対空ミサイル)
K-74(空対空ミサイル)