Su−17(スホーイ設計局)



 Su-17(Су-17スー・スィムナーッツァチ(NATOコードネーム:フィッター(Fitter)「仕立物屋」の意))は、ソ連のスホーイ設計局が開発した超音速ジェット軍用機である。

 Su-7を改良した可変翼機で、戦闘爆撃機や偵察機として使用された。名称の「Су-17」は「スー17」と読むのが正式であるが、慣習的に「スホーイ17」と呼ばれることもある。 NATOコードネームはSu-7から続く「フィッター」で、派生型に応じて「フィッターC〜K」(Fitter C〜K)が割り当てられた。 Su-20(Су-20スー・ドヴァーッツァチ)やSu-22(Су-22スー・ドヴァーッツァッドヴァー)はSu-17の輸出向けの派生型である。

 ソ連では1950年代後半以降、大型の前線戦闘機として開発されたSu-7戦闘爆撃機シリーズを空軍の対地攻撃力の根幹に据えてきた。しかしながら、このSu-7は短い航続距離と少ない 兵器搭載量という戦闘爆撃機としては致命的な欠陥を抱えており、1960年代にはその後継機の開発が必須とされた。その結果開発されたのがSu-17とMiG-23Bであった。Su-17はSu-7BMの 後退翼を半可変翼としたSu-7IK(設計局名:S-22I)を基にして開発された。一方、国内対抗機となったMiG-23Bはソ連国内向けのMiG-27と輸出向けのMiG-23BNに発展し、両者は並行して 生産が開始された。Su-17シリーズは可変翼機ではあるが、ピガー点が主翼の中ほどにあるため、アスペクト比の変化は大きくない。なお、後退角は28度から62度で変化する。 完全な新型機であったMiG-23/27に対し、Su-17シリーズは原設計の古さにも拘らずMiG-23/27よりあとの1990年まで、国内向けに1095機、輸出向けに1866機が生産された。 これは設計陣の絶え間ない改良努力の結果でもあり、今日のスホーイ設計局の礎となったといえる。また、一度に搭載できる兵器の数がMiG-23/27より多かったこと、Su-7以来の 信頼性の高さなどもSu-17シリーズが長期に亙って大量に生産・配備されたことの理由といわれている。 なお、Su-17シリーズは「戦闘爆撃機」と分類されるが、実際は偵察コンテナーを搭載した前線偵察機としても重要な機体であった。特にロシアやウクライナ、ハンガリーなどでは、 末期は偵察任務中心に使用されていた。また、その他にも多くの開発機や研究機がSu-17シリーズから開発されており、実際に生産へ移されたものもあった。
仕様・諸元
全長 19.02 m
全幅 13.68 m
全高 5.13 m
空虚重量 11,800 kg
発動機 AL-21F-3 × 1
最高速度 2,230 km/h
航続距離 1,520 km
武装 ・NR-30 30mm機関砲 × 2(各80発)
・500kg爆弾
・Kh-28、Kh-27PS、Kh-25MP、Kh-58U