MiG−1.44(ミグ設計局)



 ロシア空軍(旧ソビエト空軍)の新型戦闘機。軍が示したMFI(多用途前線戦闘機という意のロシア語を略したもの)計画により 1986年頃から開発が始まった。当初は1991年に初飛行を実施する予定であったが資金不足により計画は遅れに遅れ、 1994年12月にようやく地上滑走試験を実施するところまで漕ぎ着けたものの飛行するまでには至らず、ついに1997年には MFI計画の破棄が決定された。

 生産計画自体は破棄されたものの、完成している原型機は技術デモンストレーター機として使用されることになり、サチュルン (旧リュールカ設計局)製の新型エンジンAL−41を搭載して2000年2月に初飛行することに成功している。AL−41エンジンは 強大な推力を持っているため、当機はアフターバーナーを使用しない超音速巡航を可能としていると伝えられる。

 また、大きなカナード翼や推力変向ノズルを持っているため高機動性も備えており、可変面積空気取り入れ口による高速性能重視も 加わって、これまでにない機動能力を備えた機体だと言える。 ロシア側の発表ではステルス性も配慮しているとのことであるが、これは従来のロシア製戦闘機に比べてと言う程度のもので、米国 F−22程のステルス性は持っていないようだ。

 当機により試された各種新技術は今後のロシア製戦闘機開発に大きな影響を与えるものと思われるが、今後のロシア航空機業界が、 これら新技術を支えていけるかどうかは微妙なところであろう。
仕様・諸元
全長 20.0 m
全幅 16.4 m
全高 5.6 m
空虚重量 16,500 kg
発動機 サチュルン(旧リュールカ)製 AL-41ターボファン × 2
最高速度 M2.35
航続距離 4,000 km(空輸時)
武装 ・30mm機関砲 × 1
・機体内武器倉・翼下にAAM、爆弾等最大6,500 kgまでの兵装搭載可能