Ka−52(カモフ設計局)



 Ka-52(アリガートル)は、ロシアの航空機製造会社カモフで開発された攻撃ヘリコプターである。愛称はロシア語で「鰐」、「アリゲーター」のこと。 NATOコードネームはホーカムB。

 Ka-52は、Ka-50の複座型として開発された。Ka-50は、従来2名の乗員を必要としてきた攻撃ヘリコプターにおいて1名ですべての操作が可能なように 設計された画期的な機体であったが、軍事航空分野では先進的な技術は嫌われるという傾向に突き当たり、ロシア軍をはじめどこからも発注を 受けられずにいた。ロシアでは、ライバル機であった複座のMi-28が採用されるという動きも見られた。そのため、カモフでは急遽Ka-50の複座型を 開発することにし、Ka-52と呼ばれる機体が開発された。この機体はKa-50がはじめて公開されたときと同様、高性能さ・強力さをアピールする全身 漆黒の塗装で公開された。愛称には、ロシア人の好きな「鰐」が選ばれた。

 ka-52はKa-50より高度な能力を持ち、とくに国内ライバル機Mi-28Nのみならず西欧や米国の新型ヘリコプターとの競合において必要不可欠なもの であった夜間攻撃能力の付与は、このKa-50の新しい派生形の評価を著しく高めるものとなった。夜間攻撃用の温度探知システムとしてサムシート -50BM-1が搭載され、これによりレーザー誘導ミサイルによる攻撃力の向上が図られた。その他、Ka-52では地上からの攻撃に対する防御力の向上、 ロシア製攻撃ヘリコプターの特徴である幅広い種類の兵器搭載能力の向上が行われた。Ka-50からは、高機動性と高速度が受け継がれた。

 Ka-52からは、Ka-50-2エルドガンと命名されたNATO仕様の派生型が開発された。カモフは、この機体がトルコ陸軍へ採用されたと発表したが、 トルコ側は否定している。

 Ka-52からは、もうひとつの複座派生型が開発された。Ka-54と命名されたこの機体は、Ka-50-2エルドガン同様のタンデム式の操縦室を備えていた。 Ka-54はロシア陸軍向けに発表され、その存在は2001年に明らかにされた。

 一方、ロシアでは一時Mi-28を採用したと発表されたことがあったが、その後訂正され、現在はKa-50Sh、Ka-52、Mi-28Nなどの間でMi-24の後継機 争いが続けられた。その他Mi-24の改修型であるMi-24PNやMi-35Mなども開発されておりその一部は輸出・販売に成功しているとされるが、ロシア本国で 採用されるのは前3者のうちいずれかと見られていた。2006年2月現在のところ、Mi-28Nが50機の発注を受けている。
仕様・諸元
全長 13.50 m
メインローター直径 14.50 m
全高 4.90 m
空虚重量 7,800kg
発動機 クリーモフ製TV3-117VMA ターボシャフトエンジン × 2
最高速度 300 km/h
航続距離 1,160 km
武装 ・30 mm機関砲2A42 × 1(弾数460 発)
・3連装ヴィーフリ対戦車ミサイル × 4
・イグラー-V空対空ミサイル × 4
・40連装80mmロケットランチャー × 2
・122 oロケット × 10
・機関砲コンテナー・機銃コンテナー