Ka−50(カモフ設計局)
Ka-50(チョールナヤ・アクーラ)は、ロシアのカモフ設計局で開発された攻撃ヘリコプター。
愛称はロシア語で「黒い鮫」という意味で、"Black Shark"という英訳名で紹介されることもある。
一方、派生型Ka-50Shは非公式にノチュノーイ・オホートニクと呼ばれるが、これは「夜の狩人」という意味で、
「Night hunter」という英訳名で紹介されることもある。NATOコードネームはホーカム。
ka-50は、ロシア陸軍の主力攻撃ヘリコプターであるMi-24(NATOコードネーム:ハインド)シリーズの後継機として開発された。 開発名称はV-80(B-80ヴェー・ヴォースィミヂスャト)であった。「V」(B)はロシア語でヘリコプターを意味する「vyertolyot」の頭文字である。 対抗馬であるMi-28(NATOコードネーム:ハボック)が前任機Mi-24譲りの大型の機体であるのに対し、Ka-50はカモフが得意とする二重反転ローターを採用したコンパクトな 機体として設計され、乗員も1名のみとされた。 ka-50は前任機をはるかに凌ぐ高度な機動力を有し、二重反転ローターによってもたらされる安定した飛行特性は他メーカーの攻撃ヘリコプターには みられないものである。Ka-50は対空・対地両方への攻撃能力を有する機体として開発されたため、通常の攻撃ヘリコプター以上に対空ミサイル等の 運用能力に優れている。なお、対空戦闘は後期型Mi-24にも付与されていた任務で、ソ連・ロシアが西側以上に攻撃ヘリコプターを多目的に使用してきた ことはよく知られたことである。それに関連し、Ka-50でもMi-24同様あらゆる地上目標への攻撃能力が付与されている。 Ka-50では、同機とSu-25T向けに開発された昼間テレビ自動追跡装置シュクヴァール(「突風」の意味)を搭載した。 また、自動追跡航法装置ルビコーンも搭載した。 1989年、V-80Sh-1はKa-50に改名。 ka-50は初めて射出座席を採用したヘリコプターとしても知られている。乗員が1名のみとするのも攻撃ヘリコプターとしては世界初の試みで、 カモフではこれをセールスポイントとしていた。結果としてこれは複座機に慣れ親しんできた運用側に不安感を与えてしまい、Ka-50がビジネス的に 失敗する要因となってしまった。そのため、トルコ空軍に売り込みをかけているKa-50-2はKa-50をタンデム複座型に改造した発展型となっている。 その後、カモフはKa-50を複座にしたKa-52を開発するとともに単座型Ka-50の改良型としてKa-50Shを開発した。 同時期にはMi-28の夜間攻撃機型Mi-28Nも発されており、Ka-50シリーズでもKa-52やKa-50Shへ同様に夜間攻撃能力が付与された。 シュクヴァール-Vの上部に装備されたサムシート-50T(「柘」の意味)システムは温度によって敵の画像を捉えるもので、策敵、追跡、 レーザー誘導ミサイルによる攻撃に際し大きな力を発揮するものと期待された。カモフではKa-52とともにこのKa-50Shをロシア陸軍へ売り込んでおり、 一度は決定されたとされたMi-28の採用が取り消しとなったことから再攻勢をかけた。結局は、Mi-28Nが50機の発注を受けている。 なお、Mi-28Nの愛称もKa-50Sh同様ノチュノーイ・オホートニクである。 Ka-50はイメージ戦略として全身漆黒のカラーリングで公開され、その後もいくどかの変更を経ながら「映画スクリーン上の兵器」のような塗装は 維持されてきた。それが大きく変更されたのはチェチェン戦争への実戦投入で、Ka-50は実戦仕様の迷彩を施され、8機が前線へ投入された。 これはKa-50の実戦試験であった。 |
|
仕様・諸元(Ka-50) |
|
---|---|
全長 | 13.50 m |
14.50 m | |
全高 | 4.90 m |
空虚重量 | 7,692kg |
発動機 | クリーモフ製TV3-117VMA ターボプロップエンジン ×2 |
最高速度 | 390 km/h |
航続距離 | 1,160 km |
武装 | ・30 mm機関砲2A42 ×1(弾数500 発) ・3連装ヴィーフリ対戦車ミサイル×4 ・イグラー-V空対空ミサイル×4 ・40連装80mmロケットランチャー×2 ・機関砲コンテナー・機銃コンテナー |