IA−58(FMA)



 FMA IA58 プカラはアルゼンチンで開発されたCOIN機である。メーカーは Fabrica Militar de Aviones ( Military Aircraft Factory )である。

 双発のダーボプロップ機である。原型機AX-2 Delfinはギャレットのターボ・プロップ・エンジンで1968年8月に初飛行した。量産型機はエンジンをフランスのチュルボメカの エンジンに変更された。対ゲリラ戦を想定しているため、銃弾に耐え得る装甲と強力な機銃装備を持つが、通常無誘導爆弾、ロケット弾しか装備する事ができず、OV-10のように 高い通信能力や多用途性を持ち合わせていない。

 元々、60〜70年代にアルゼンチン国内で発生していた共産ゲリラ対策の為に開発された。1982年のフォークランド戦争の際にはSTOL性能を活かして24機がフォークランド諸島の ポート・スタンリー、グースグリーン、ペブル島の前線飛行場に展開し、アルゼンチン軍地上部隊の近接航空支援やイギリス艦隊への対艦攻撃を任務としたが、優秀な 地対空ミサイルを多数装備したイギリス軍地上部隊には歯が立たなかった上、前線飛行場がイギリス軍のハリアー/シーハリアー戦闘機やアヴロ・バルカン戦略爆撃機による空爆、 艦砲射撃、さらにはSASやSBSによる奇襲攻撃と破壊工作によって機体の大半が破壊され、飛行可能な数機はイギリスが鹵獲して評価試験を行った後に博物館送りとなった。

 フォークランド戦争を教訓として装甲強化や単座化を施した改良型も開発されたが、結局量産化には至らず挫折した。

 低強度のゲリラ戦に向いている機体であり、海外輸出も試みられ、ウルグアイ、コロンビア、スリランカで採用された。スリランカにおいては防空能力に優れたLTTE (9K32、スティンガー等携帯地対空ミサイルを装備)に太刀打ちできず、少数の採用に留まった。イラクやモーリタニアからも発注があったが、資金不足や輸入規制などから 実現しなかった。現在でも稼動しているのは、アルゼンチン以外ではウルグアイのみである。
仕様・諸元
全長 15.25 m
全幅 14.5 m
全高 5.36 m
空虚重量 4,037 kg
発動機 Turbomeca Astazou XVI × 2
最高速度 500 km/h
航続距離 3,040 km
武装 ・20mm機関砲 × 2, 7.62 mm機銃 × 4
・爆弾 1500 kg