おおすみ(おおすみ型輸送艦)
おおすみ型輸送艦(JMSDF LST OSUMI class)は海上自衛隊が保有する輸送艦である。
あつみ型輸送艦の代艦として3500トン型輸送艦が計画されたが、数次の改正を経て8900トン型輸送艦(平成5年度計画艦)として予算通過、平成10年に1番艦が輸送隊に配備された。現在、 おおすみ型は1番艦「おおすみ」・2番艦「しもきた」・3番艦「くにさき」のあわせて3隻建造され、1隻で完全武装した隊員330名と90式戦車10両の輸送が可能である。全艦とも呉基地の 護衛艦隊隷下の第1輸送隊に集中配備されている。 おおすみ型輸送艦という名称は、海上自衛隊としては、その初期にアメリカ海軍より貸与された初代おおすみ型に次ぐ2代目となる。 あつみ型輸送艦やみうら型輸送艦などこれまでの輸送艦は、海上から陸上に物資を揚陸する際は直接砂浜に乗り上げるビーチングを使用していたが、おおすみ型ではエアクッション艇1号型 (LCACとも呼ばれるホバークラフト型揚陸艇)を使用して陸上への輸送を行う方式になった。LCACによる輸送にかわった理由としては、ビーチングの場合揚陸できる海岸は世界の海岸線の 15%ほどしか無いのに対し、ホバークラフトならば揚陸に使用できる海岸は世界の海岸線の70%程度と大幅に増えること、ビーチング揚陸方式の輸送船は船底形状が平面形となり、高速航行 能力や動揺抵抗性能を思うように得られないことなどが挙げられる。 おおすみ型は、右舷側に寄せたアイランド型の艦橋構造物と、全体を一枚の甲板で構成する全通甲板を有している。そのため航空母艦あるいは強襲揚陸艦に類似した形状をしているが、 ヘリコプター甲板は艦橋構造物の後方だけで、それより前方は車両甲板として使用される。航空機を整備する設備はなく、格納庫・エレベーターも車両用のものしかない。 航空母艦に比べて艦橋構造物の幅が広いため固定翼機の滑走は困難で、甲板にはハリアーなど垂直離着陸機のジェットエンジンが出す高熱の排気に対する耐熱塗装は施されていない。 実際に2005年の前年に発生したスマトラ沖地震の援助の際、3番艦くにさきが陸上自衛隊のヘリコプター5機を搭載し派遣されたが、ヘリコプター運用にはかなり困難が伴った (例えば、ヘリコプターの整備能力がなかったため、UH-60系ヘリの整備はしらね型護衛艦「くらま」内の整備施設で行い、陸自のCH-47ヘリは、点検以外の整備が出来なかった)。 能力的にはヘリコプター運用能力が低く、車両の運搬能力に長じた揚陸艦で、これは諸外国で言うドック型輸送揚陸艦に近い。 1番艦「おおすみ」には、外洋航海やヘリ離発着には欠かせないフィンスタビライザー(横揺れ防止装置)が、政治的判断から装備されなかった(2番艦以降には装備された)が、 平成18年度防衛庁予算において、国際緊急援助活動に対応するための大型輸送艦の改修費として予算化された。また、同時に航空燃料の容量も増大される。なお、就役当初にはなかったTACAN (戦術航法システム)が現在では搭載されており、ヘリ運用において若干の改良は行われているようである。 [同型艦] ・LST-4001 おおすみ ・LST-4002 しもきた ・LST-4003 くにさき |
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艦 歴(おおすみ) |
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起工 | 1995年12月6日 |
進水 | 1996年11月18日 |
竣工 | 1998年3月11日 |
除籍 | 就役中 |
建造所 | 三井造船玉野事業所 |
仕様・諸元 |
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排水量 | 基準排水量:8,900 t 満載排水量:14,000 t |
全長 | 178.0 m |
全幅 | 25.8 m |
喫水 | 6.0 m |
機関 | 三井 16V42M-Aディーゼル 2基2軸 (27,000PS) |
最大速 | 22ノット |
航続距離 | |
乗員 | 135 名 |
兵装 | ・ファランクスCIWS × 2基 |
輸送能力 | ・上陸用舟艇 LCAC 2隻 ・人員 330名 ・90式戦車 10両 |