くまの(護衛艦[フリゲート])


 くまの(FFM-2)は、海上自衛隊の護衛艦で、もがみ型護衛艦の2番艦である。 「くまの」は中期防衛力整備計画に基づく平成30年度計画護衛艦として、三菱重工業を通して三井E&S造船に発注され、玉野艦船工場で2019年10月30日に起工、2020年11月19日に命名・進水した。  艤装工事と海上公試を受けた後、2022年3月22日に就役し、掃海隊群に直轄艦として編入され、横須賀に配備された。就役後は掃海隊群司令部のある同基地で様々な運用試験が予定されている。  もがみ型2番艦である「くまの」だが、1番艦「もがみ」に先立っての進水となった。 これは三菱重工業長崎造船所で建造中だった1番艦「もがみ」が、機関の運転試験を行った際、ガスタービンが脱落した部品を吸い込んで機関を損傷したことで工事の進捗に遅れが出たことによるものである。  その影響で、命名・進水時点ではタイプシップ名は公表されなかった。

 もがみ型護衛艦は、海上自衛隊の護衛艦の艦級であるが、従来の護衛艦とは一線を画したコンパクトかつ多機能な艦艇とされており、艦種記号も、フリゲートを表す「FF」に多目的と機雷の頭文字の「M」を合わせた「FFM」という新しいものが採用された。  海上自衛隊にフリゲートに分類される艦が配備されるのは、アメリカ合衆国から貸与されたくす型護衛艦(元アメリカ海軍タコマ級フリゲート)の最終艦「かや」(元サンペドロ)が護衛艦籍を除籍された1972年3月以来、半世紀ぶりとなる。 もがみ型は26中期防より建造が構想され、平成26年度『防衛白書』でコラムの「解説」に「新たな護衛艦」の名で取り上げられている。 その後、防衛装備庁等で「新艦艇」、31中期防では「新型護衛艦」と呼称されており、1番艦は平成30年度予算で建造が承認されたことから、30FFMと通称される。

 この護衛艦の建造にあたっては、事業者側からの提案を競合させるという新しい調達方式が試みられることになった。 2017年2月には防衛装備庁が公募を発表し、ジャパン マリンユナイテッド、三井造船(のち三井E&S造船、現・三菱重工マリタイムシステムズ)、 三菱重工業の3社が企画提案を行った。 第1段階評価は3社とも合格し、続く第2段階評価の結果、8月には、最も評価が高かった三菱重工業が主事業者、次点の三井造船が下請負者として選定され、11月に契約締結が公表された。 

 防衛装備庁の公募では、「多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化の両立」が求められていたが、「確定研究」段階の2015年の時点では「3,000トン型」と称され、最終的には、3割ほど大型化した「3,900トン型」となった。  機関はCODAG方式が採用された。 これは低燃費を狙ったものと考えられており、また機関部をコンパクトにできるというメリットもある。 低速機としてはMAN社12V28/33D STCディーゼルエンジン2基、加速機としてはロールス・ロイスMT30ガスタービンエンジン1基を搭載する。  推進器は従来どおりの可変ピッチ・プロペラとされている。

 対空兵器としては、SeaRAM近接防空ミサイル・システムが搭載される。 また62口径5インチ砲(127mm単装砲)も対空兵器として使用されうるが、その射撃指揮はOPY-2によって行われる。  対艦兵器としては、62口径5インチ砲に加えて、17式艦対艦誘導弾(SSM-2)の4連装発射筒2基が搭載される。 攻撃管制用の艦上装置としては、艦対艦ミサイル艦上装置3形(SSMS-3)が搭載されるものと見られている。  この他、日本製鋼所が開発した国産RWSである「水上艦艇用機関銃架(遠隔操作型)」の12.7ミリ機関銃装備型を2基搭載する。

 対潜センサーとしてはOQQ-25水上艦用ソーナーシステムが搭載される。 これは「可変深度ソーナーシステム」として開発され、曳航ソナーにアクティブソナーとしての機能を付加した可変深度ソナー(VDS/TASS)であり、 自艦・僚艦間でのバイ/マルチスタティック戦術を可能とする。 対潜兵器としては324mm3連装短魚雷発射管(HOS-303 水上発射管)が搭載される。 

 本型において、従来護衛艦と一線を画するのが、機雷戦能力の導入である。 これは、日本周辺の情勢変化を背景として、主要国間の大規模武力紛争の蓋然性の低下に伴って掃海部隊の規模縮小が検討されるとともに、掃海隊群が水陸両用作戦も所掌するようになったことから、掃海艦艇の減勢後も所要の対機雷戦能力を担保するとともに、島嶼戦に際して対機雷戦を含む水陸両用作戦を遂行する艦として期待されたためであった。  対機雷戦のため、対機雷戦ソナー・システム(OQQ-11)が搭載されるほか、無人機雷排除システム用水上無人機(USV)と機雷捜索用無人機(UUV)の運用能力が付与される。

[同型艦]
FFM-1 もがみ
FFM-3 のしろ
FFM-4 みくま
艦 歴
発注 2018年
起工 2019年10月30日
進水 2020年11月19日
就役 2022年3月22日
退役 -
母港 横須賀
仕様・諸元
排水量 基準排水量:3,900 t
満載排水量:5,500 t
全長 132.5 m
全幅 16.3.0 m
喫水 9 m
機関 ロールス・ロイス MT30 ガスタービンエンジン × 1基
MAN社12V28/33D STC ディーゼルエンジン × 2基
最大速 30ノット
航続距離   
乗員 90〜100 名
兵装 ・ 62口径5インチ単装砲 × 1門
・Sea RAM × 1基
・RWS × 2基
・17式艦対艦誘導弾 (SSM-2) 4連装発射筒 × 2基
・Mk.41 VLS (07式 SUMほか) × 16セル
・HOS-303 3連装短魚雷発射管 × 2基
艦載機 SH-60K 哨戒ヘリコプター × 1機