たかなみ(たかなみ型護衛艦)
たかなみ型護衛艦(JMSDF DD TAKANAMI class)は海上自衛隊が保有する汎用護衛艦である。1998年度予算で初めて導入された。たかなみ型は海上自衛隊の護衛隊群で使用される汎用護衛艦
はつゆき型やあさぎり型を代替するために開発されたが、当時は平成不況の真っ只中で予算に大きな制約が課せられていたため船体は新規での開発ではなく、むらさめ型護衛艦の改良型として
誕生した。
船体はむらさめ型を元としているため基本形状や機関など全体的には類似しているが、兵装の変更による艦内構造の変更など細部ではかなり変更が施されており、基準排水量もむらさめ型から 100t増えている。以下に主な変更点を挙げる。 《主砲の変更》 主砲は従来の汎用護衛艦では、はつゆき型護衛艦以降オート・メラーラ製の76mm砲が装備されていたがたかなみ型ではオート・メラーラ製の127mm砲が装備された。この127mm砲はこんごう型 護衛艦に装備されているものと同様で毎分45発程度の発射が可能である。127mm砲は76mm砲の毎分100発に比べると発射速度は低いが射程距離とストッピングパワーは向上したために総体としての 対空火力は拡大している。 また、砲弾の威力が重視される対艦、対地攻撃能力も向上している。さらに新規開発された76mm砲用の05式近接信管と新型の狭指向性HE弾頭とセットでの近接防空能力が確認されれば、今まで 見送られてきた127mm砲用の新近接信管の開発も進む可能性があり、艦隊全体の近接防空能力の向上も期待しうる。 《VLSのMk41への統合》 むらさめ型では艦橋前部に対潜ロケットのアスロック用としてMk41VLSを16セル、2つの煙突間に対空ミサイルであるシースパロー用としてMk48VLSを16セル装備していた。 たかなみ型ではMk41VLSをシースパロー用、アスロック用それぞれ16セルとし、艦橋前部に32セル装備することとした。 シースパローは、今後順次発展型シースパロー (ESSM) に換装される予定でMk41VLSは1セルにつき4発、むらさめ型の2倍の64発を装填できる。 直前に位置している主砲がむらさめ型よりも大型化したことで、砲弾庫の一部がVLSの下に潜り込む構造となっている。このためVLSそのものが甲板から1段せり上がった形となっている。 むらさめ型でMk48が装備されていた場所にはヘリコプター搭乗員待機室とSH-60K哨戒ヘリコプターの弾薬庫が設けられ、ヘリコプター格納庫により近い合理的な配置となった。 またMk48の廃止によりSSM発射筒の装備位置も変更され、ミサイル発射時のブラストを艦外に逃がし易くなった。 《ヘリコプター運用能力の向上》 自衛隊の汎用護衛艦(DD) は、はつゆき型以降ヘリコプター格納庫を装備し対潜ヘリコプターを1機運用している。あさぎり型とむらさめ型ではヘリコプター格納庫が大型化されヘリコプター2機の 搭載が可能となったが、ヘリコプターを格納庫から甲板へ移動させるレールが1機分しか装備されておらず、あくまで搭載可能の域を越えるものではなかった。たかなみ型は2機分のレールを備え 汎用護衛艦として初めてヘリコプター2機を十分運用させるだけの能力が付与された。ただしヘリコプター運用定数はこれまでと同じように1機である。 格納庫は現在使用されている哨戒ヘリコプターSH-60Jよりやや大型のSH-60Kの運用を前提として開発されたため、むらさめ型より奥行きが拡大されている。またSH-60Kは対艦ミサイル (ヘルファイア)や対潜爆弾(航空爆雷)の搭載もされるため、それ用の弾薬庫も装備された。たかなみ型は現在のところSH-60Jを装備しているため弾薬庫は倉庫として使用されている。 [同型艦] ・DD-111 おおなみ ・DD-112 まきなみ ・DD-113 さざなみ ・DD-114 すずなみ |
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艦 歴(はたかぜ) |
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起工 | |
進水 | |
竣工 | 2003年 |
除籍 | 就役中 |
建造所 | 三菱重工業長崎造船所 |
仕様・諸元 |
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排水量 | 基準排水量:4,650 t |
全長 | 151 m |
全幅 | 17.4 m |
喫水 | 5.3 m |
機関 | ガスタービンエンジンCOGAG方式 4基2軸推進 ロールス・ロイス スペイ SM1A 2基 (70,000馬力) |
最大速 | 30ノット |
航続距離 | |
乗員 | 175 名 |
兵装 | ・127mm単装速射砲 × 1門 ・ファランクスCIWS × 2基 ・90式艦対艦誘導弾 (SSM-1B)4連装発射筒 × 2基 ・Mk41VLS × 32セル ・3連装短魚雷発射管(HOS-302) × 2基 |
艦載機 | SH-60J/K ヘリコプター × 1機 |