たちかぜ(たちかぜ型ミサイル搭載護衛艦)



 たちかぜ型護衛艦(JMSDF DDG TACHIKAZE class)は第3次防衛力整備計画から計画・建造された、あまつかぜに次ぐ海上自衛隊の第二世代ミサイル搭載護衛艦である。

 海上自衛隊ではあまつかぜ以来ほぼ10年間DDG(ミサイル搭載護衛艦)は建造されていなかったが、艦隊防空強化の為、昭和46年(1971年)度に計画されたのが、たちかぜである。 艦型規模に大きな制約のあったあまつかぜ型に比べて大型化しており、設計的には改良型というより、たかつき型護衛艦の船体にターターシステムを積み込んだ、というコンセプトである。 また、海上自衛隊のDDGとしては初めて、デジタルコンピュータによって武器管制を統合するシステム艦となった。 搭載ミサイルもRIM-24ターターからRIM-66スタンダードに進化した。その他の兵装である5インチ砲やアスロック、全体的な配置などはたかつき型に準じている。前甲板に5インチ砲と アスロック発射機を備え、艦体後部にも5インチ砲を設置、艦尾にMK.13スタンダードミサイル発射機を設置している。イルミネーター2基も艦の後部にある。マストはマック方式で2基あるが、 推進機関に蒸気タービンを採用した海自のDDGは本型が最後である。

 たちかぜ型はターターDシステムを搭載し、海上自衛隊としては初めて大規模なコンピュータを搭載した艦となっており、各種センサー及び武器類を統合管制する戦術情報処理装置として OYQ-1Bを搭載している。(なお2番艦のあさかぜではOYQ-2Bに、3番艦のさわかぜではOYQ-4に更新されている。) 2番艦では、1番艦では省略されていた一部の装備が追加されたため基準排水量は 若干増大している。3番艦のさわかぜでは大幅に変更がなされている。 ミサイル発射機をハープーン艦対艦ミサイルと兼用できるMK13mod4に更新した他、アスロック発射機の装填方式、電子装置の更新、洋上補給装置の位置などである。 なお、3隻ともファランクスCIWS2基を後日装備し、近接防空能力の向上を図っている。

 「たちかぜ」は1998年(平成10年)に2番砲塔の撤去と司令部設備の新設改修を施し、2007年(平成19年)1月15日まで護衛艦隊旗艦を務めた。 あたご型イージス護衛艦の就役により2隻が退役するため、3番艦「さわかぜ」が同様の工事を受け、同日より護衛艦隊旗艦を務めている。

[同型艦]
・DDG-169 あさかぜ
・DDG-170 さわかぜ
艦 歴(たちかぜ)
起工 1973年6月19日
進水 1974年12月17日
就役 1976年3月26日
除籍 2007年1月15日
建造所 三菱重工業長崎造船所
仕様・諸元
排水量 基準排水量:3,850 t
満載排水量:5,200 t
全長 143 m
全幅 14.3 m
喫水 4.65 m
機関 蒸気タービン 2軸推進(60,000馬力)
最大速 32ノット
航続距離  
乗員 250 名
兵装 ・73式54口径5インチ単装砲 × 2門
・68式324mm3連装短魚雷発射管 × 2基
・74式アスロック8連装発射機 × 1基
・スタンダード単装発射機(Mk.13 Mod3) × 1基