こんごう型(ミサイル護衛艦)
冷戦当時、アメリカはソ連との戦争が勃発した際、攻撃機や対艦ミサイルによる飽和攻撃から航空母艦などの戦闘艦群を護衛するために、日本の自衛隊にもイージス艦を保有させ、
支援を行わせる事を構想していた。また日本でも艦隊の防空とシーレーン防衛の重要性が論じられていた。島国である日本は、資源・エネルギーを海外からの輸入に依存しており、
海上輸送路の防衛は重要課題となっていた。
1988年の防衛計画によりイージス艦の導入が正式に決定する。当初は「7200トン型護衛艦」と呼ばれ建造が始まった。イージスシステムはアメリカから有償軍事援助により購入し 搭載される事となったが、日本初のイージス艦という事もあり、アメリカ海軍のイージスシステム搭載艦アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦をベースに設計がなされた。 一隻あたりの価格は約1223億円と言われている。 こんごう型の1番艦は1993年に竣工した。しかし、すでにソビエト連邦は崩壊し冷戦は終結していたので、「ここまで高性能の戦闘艦はもはや必要ないのではないか」という意見が 一部から申し立てられることになった。またその後、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が顕在化してくると、弾道ミサイル迎撃能力がない本艦の存在に対して、再度否定的な意見が述べられる こともあった。こうした事態に対応するべく現在では、高性能なレーダー能力を保有する本艦の潜在能力の高さが認められ、ミサイル防衛での使用を目的として改修が行われている。 本型1番艦がまだ建造中で艦名が公表される以前、その巨大な艦橋が旧海軍の重巡洋艦「高雄」に似ていることから、ジェーン海軍年鑑は「日本がTakao Classを建造中」と報じていた。 [アーレイ・バーク級からの変更点] こんごう型はアメリカが保有するアーレイ・バーク級イージス駆逐艦をベースとして開発されたため基本的な能力としては同様であるが、いくつかの変更が加えられている。 ・艦型がヘリ甲板が1段下がっている長船首楼型からヘリ甲板まで平坦に続く平甲板型に変更。 ・艦橋は群司令用の設備が入っているため、2甲板分高く、それに併せて艦橋周辺のアンテナ類の配置を変更。そのため全長も長くなり、排水量も増加している。 艦橋構造物はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦に匹敵するほど大型の物となっている。 ・主砲はMk45からオート・メラーラ製127mm砲になり、主砲管制用に国産の射撃指揮装置FCS-2-21を艦橋上部に装備。 ・マストも異なっており、ラティスマストと呼ばれるトラス構造のものになっている。 ・対潜関連のソナー等の一部機材もリリースが無く日本独自開発の装備である。 ・アメリカのイージス艦には対地攻撃用のトマホーク巡航ミサイルが搭載されているが、海上自衛隊のこんごう型はVLSにスタンダードミサイルとアスロックのみを搭載している。 また、現時点でのこんごう型のイージスシステムは、3番艦までがベースライン4(米軍呼称ベースラインJ1)、ちょうかいがベースライン5である。現在行われつつあるBMD3.6改修と ベースライン7相当への改修によって、将来的には平易にESSM装備による高機動目標の近距離同時対処も可能となっている。 [同型艦] DDG-173 こんごう DDG-174 きりしま DDG-175 みょうこう DDG-176 ちょうかい |
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艦 歴(こんごう) |
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就役 | 1993年3月25日 |
退役 | - |
母港 | 佐世保 |
仕様・諸元 |
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排水量 | 基準排水量:7,250 t 満載排水量:9,485 t |
全長 | 161 m |
全幅 | 21 m |
喫水 | 6.2 m |
機関 | 石川島播磨重工業製LM2500ガスタービン 4基(100,000ps) |
最大速 | 最大30ノット以上 |
航続距離 | 推定4500海里(巡航速度:20ノット) |
乗員 | 300 名 |
兵装 | ・オート・メラーラ127mm54口径単装速射砲 × 1 ・ハープーンSSM4連装発射機 × 2 ・68式324mm3連装短魚雷発射管 × 2 ・ファランクスCIWS × 2 ・Mk41 VLS 前部29セル 後部61セル ・スタンダードミサイル(SM-2MR) ・アスロック対潜ロケット |
艦載機 | 着艦スペースのみ |