海鷹型航空母艦海鷹

艦　歴
海鷹（かいよう）は旧大日本帝国海軍の航空母艦。　元大阪商船所属「あるぜんちな丸」。　旧日本海軍に売却され空母に改装された。　日本海軍は航空母艦の不足を補うために高速貨客船建造に助成金を与え、その代償として有事には空母に改装する計画であった。　1939年に竣工した大阪商船所属の「あるぜんちな丸」もそのなかの１隻であり、同型船の「ぶらじる丸」と共に南アメリカ航路の豪華客船として建造された。　連合国との開戦後の1942年5月1日、特設輸送艦として徴用されたが直後にミッドウェー海戦で正規空母4隻が沈没、急遽空母への改造が6月30日に決定した。　この年の12月9日に買収され同月より三菱重工業長崎造船所において改装工事が始まり、翌1943年11月23日に完成、船籍も日本海軍に移り航空母艦海鷹になった。　　客船時代の主機は三菱MS11ディーゼルであったが、これを陽炎型駆逐艦用のボイラーとタービンに換装し、速力は２３ノットに増速した。　本船から降ろされた三菱ディーゼルは、後に川崎型油槽船の最終船である久栄丸に転用されている。　姉妹船の「ぶらじる丸」は空母へ改装のためトラック島から本土に出港した直後の1942年8月4日、アメリカ海軍の潜水艦「グリーンリング」によって撃沈された。　任務は主に後方での航空機輸送や船団護衛任務であった。　しかし1945年の中盤に入ると、艦載機や燃料が枯渇してきた上に制海権が連合国軍に握られたこともあり、瀬戸内海において特攻兵器の訓練標的艦として行動した。　同年7月24日、四国佐田岬沖で触雷、やむなく大分県別府湾（日出町城下海岸）に擱座。　４日後の空襲により発電機が損傷し排水ポンプが作動せず浸水が増大、船体放棄され、そのまま終戦を迎えた。　戦後日鮮サルベージの手によって浮揚解体された。　海鷹は小型低速の空母であり、多数機を一挙に発艦させることはできなかった。　カタパルトなしに全備状態の重い艦上機を飛ばすには、少数機を飛行甲板上に並べて長距離を滑走させる必要があった。　そこで本艦は実戦投入には不適であることから船団護衛に投入された。　護衛にあたり使用した機体は九七式艦上攻撃機である。　これを12機から14機搭載し、数機ずつを船団の周囲に２～３時間、交代で飛ばし、対潜哨戒を行った。　1944年4月3日、海鷹はヒ５７船団の護衛に初めて従事した。　この船団は９隻のタンカーから成り、護衛艦艇は海鷹のほか６隻であった。4月16日にはシンガポールに到着、改めてヒ５８船団として4月21日にシンガポールを出発し、5月3日、門司に帰還した。損害はなかった。　海鷹は日本からシンガポールの長距離輸送の護衛、または、台湾、海南島への中距離輸送の護衛を行った。　これは1945年1月以降、アメリカ軍が南方の制空権と制海権を奪取するまで続いた。
起工	1938年2月5日
進水	1938年12月9日
竣役	1939年5月31日（「あるぜんちな丸」として竣工） 1943年11月23日（空母へ改装完了）
喪失(沈没)	1945年7月24日
除籍	1945年11月20日
建造所	三菱重工業長崎造船所（改装）
仕様・諸元
排水量	基準排水量：13,600 t 満載排水量：16,700 t
全長	166.55 m
水線幅	21.9 m
喫水	8.25 m
機関	ロ号艦本式4基 , 艦本式タービン2基2軸（52,000hp）
最大速	23.0ノット
航続距離	7,000浬（18kt航行時）
乗員	587 名
兵装	・12cm連装m高角砲 × 4基・25mm3連装機銃 × 8基
搭載機	・艦上戦闘機 : 18 機・艦上攻撃機 : 6 機