かが(いづも型護衛艦)
「かが」(DDH-184)は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦で。いずも型護衛艦の2番艦である。
艦名は令制国の加賀国に由来し、旧海軍の航空母艦「加賀」に続き日本の艦艇としては二代目、海上自衛隊の護衛艦としては初代である。 太平洋戦争期の正規空母・雲龍型航空母艦や蒼龍を若干ながら上回る規模と排水量を有し、甲板を含めた全長247mは旧海軍空母「加賀」とほぼ同じである。 艦内神社も「加賀」と同じ白山比盗_社。 1番艦の「いずも」と共に海上自衛隊史上最大の艦艇となっている。 建造費用は1,155億円。 「かが」は、しらね型護衛艦2番艦「くらま」の代替艦として計画され、23中期防に基づく平成24年度計画19,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(24DDH)として、ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2013年10月7日に起工され、2015年8月27日に命名・進水、2016年8月5日に公試開始となった。 就役は2017年3月22日。 艦のロゴマークは一般から公募されたもので、金箔や加賀友禅など加賀藩の名産品や、加賀藩主である加賀前田家の家紋でもある梅などを取り入れたデザインである。 日本を代表する四季の花々を春夏秋冬の順番で配置し、そのバックに広がる蔦には、日本海の波しぶきと、加賀を吹き抜ける風を表し、中央の海鳥はヘリコプターが力強く飛び立つイメージを表している。 これらの花の花言葉と「自衛官の心がまえ」には相通じる部分があり、ヘリコプター搭載護衛艦として高い誇りをもって職務に精励する乗員のシンボルである。 「かが」は、2021年度末から5年に一度の大規模な定期検査に入るのを機に、F−35B戦闘機の搭載に向けて大規模な改修を行う予定となっていたが、艦内の区画や搭乗員の待機区画の整備については、アメリカ軍の協力による検証実験や試験を実施し、実運用する際の人やモノの動き、動線を詳細に検討したうえで、改修内容を確定することが妥当であることがわかったという。 このため、艦内区画の整備などについては、2021年度の定期検査に合わせてではなく、2026年度末からの定期検査に合わせて実施する予定となった。 また、F−35Bを安全に運用するために、艦首形状を長方形に変更する改修工事が行われた。 カタパルト(射出機)や「スキージャンプ台」と呼ばれる傾斜滑走路の設置はされていない。 防衛省は2021年8月31日、令和4年度防衛予算編成に向け、「いずも」と「かが」にF−35Bを搭載できるよう、いずも型護衛艦改修費として67億円を概算要求した。 内訳は「いずも」の着艦誘導装置を先行取得するための費用が36億円、米軍からの技術支援経費が12億円、「かが」の航空管制室の視認性を高めるための工事経費が13億円などとなっている。 この着艦誘導装置としては、米海軍と米レイセオン社が共同開発した「ジェイパルス」が予定されている。JPALSはGPS衛星信号と慣性航法システム(INS)を使って、F−35Bやオスプレイといった軍用機を自動的に安全かつ正確に着艦誘導する全天候型のシステムである。 防衛省は令和4年度予算では「いずも」の分のみのJPALSを取得し、「かが」の分は後年度に取得する方針。 岸田文雄内閣は2021年12月24日、令和4年度防衛予算編成で「いずも」と「かが」にF−35Bを搭載できるようにする改修費として61億円を計上し、閣議決定した。内訳は「いずも」の着艦誘導装置を先行取得するための費用が36億円、アメリカ軍からの技術支援経費が12億円、「かが」の航空管制室の視認性を高めるための工事経費が13億円となり、いずれも2021年8月公表の概算要求額が満額認められた。 2023年4月、改修工事中だった呉市内の事業所から出渠した。 艦首が“台形”から“長方形”に変化しており、前部ファランクスは本体がなく台座のみとなっていた。 艦番号も表記されておらず、改修工事中に設置されたと思われる作業用の構築物も撤去されていなかった。 同年10月、本艦に艦名と艦番号を書くため筆入れ作業が行われた。 改修工事完了後の11月初旬から海上公試を行い、11月17日に母港の呉基地に帰還した。 2024年10月から米国サンディエゴ沖において、米海軍及び米海兵隊の支援を得て矩形の飛行甲板に改修後のF−35Bの艦上運用に必要な諸元を収集するための所要の試験を実施し、現地時間10月20日15時ごろ、F−35Bが初の着艦に成功。 また、翌10月21日には発艦試験が行われた。 海上自衛隊の護衛艦で固定翼戦闘機が発着艦したのは、2021年に同型艦「いずも」にF−35Bが発着艦して以来、これが史上2度目のことである。 同年11月6日(日本時間7日)にF-35Bの艦上運用試験が完了したことが、海上自衛隊から公表された。 |
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艦 歴 |
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起工 | 2013年10月7日 |
進水 | 2015年8月27日 |
竣工 | 2016年8月5日 |
就役 | 2017年3月22日 |
建造所 | ジャパンマリンユナイテッド横浜 |
仕様・諸元 |
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排水量 | 基準排水量 : 19,500 t 満載排水量 : 26,000 t |
全長 | 248.0 m |
全幅 | 38.0 m |
喫水 | 7.1 m |
機関 | COGAG方式 IHILM2500IEC型ガスタービン × 4基 (112,000ps) |
最大速 | 30.0 ノット |
乗員 | 520 名 |
兵装 | ・ 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基 ・SeaRAM 近SAMシステム × 2基 |
搭載機 | ・SH-60J/K 哨戒ヘリコプター × 7機 ・MCH-101 輸送ヘリコプター × 2機 |
レーダー | OPS-50 対空 OPS-28 対水上 OPS-20 航海用 |
ソナー | ・OQQ-23 ソナーシステム |