T−2(三菱重工業)



 T-2は日本・航空自衛隊の高等練習機である。三菱重工業が製造し、初飛行は1971年(昭和46)7月20日。日本が初めて開発した超音速航空機である。 2006年(平成18)3月2日に岐阜基地・飛行開発実験団のT-2特別仕様機(59-5107)が引退し、初飛行から35年の歴史に幕を閉じた。 一部の航空ファンは配備されていた松島基地第21飛行隊のコールサイン「アーガス」と呼ぶ。

 主翼が非常に小さく、また厚みも薄い超音速飛行に重点を置いた形状となった。水平尾翼は下方向に15度の角がついている全遊動式で、前縁は エンジン排気の耐熱のためチタニウム合金が用いられている。また、ロールアウトの時点では、胴体後部のベントラルフィンは付いていなかったが、 最終設計の段階で低速高迎角時に方向安定が不足することがわかり、新たに装備された。車輪はコストダウンのため、F-104J/DJと同じものを 使用している。

 エンジンは英仏共同開発のロールス・ロイス/チュルボメカTF40「アドーア」を石川島播磨重工業でライセンス生産するものとしたが、そのためか、 機体はエンジンを同じくする英仏共同開発のジャギュアに非常に良く似たシルエットである。もちろん、直接の関係は無いが「猿真似」と呼ばれた。

 1982年(昭和57)、松島基地の第21飛行隊にT-2戦技研究班を編成、T-2型による2代目ブルーインパルスの運用が開始され、7月25日には 松島基地航空祭にて初公開した。ブルーインパルスの機体配色は一般公募され、女子高校生のグループの案をベースとした、青地に白と水色の ストライプが入るものとなった。「1982年戦技競技会」にT-2飛行教導隊がフェイカーとして初参加した。

 最後の機体は岐阜基地の飛行開発実験団に配備されていたT-2特別仕様機の#107で、2006年(平成18)3月2日に退役した。
仕様・諸元
全長 17.85 m
全幅 7.88 m
全高 4.45 m
空虚重量 6,200 kg
発動機 RR/IHI TF40-IHI-801A × 2
最高速度 M 1.6
航続距離 約4000km
武装 ・M61バルカン砲