F−2(三菱重工業)



 F-2はF-1支援戦闘機の後継機として開発された航空自衛隊の支援戦闘機である。 アメリカ合衆国のF-16をベースに改造開発したもので、三菱重工業を主契約企業、ロッキード・マーティンなどを協力企業として、 日米共同で開発された。1995年に初飛行、2000年より各部隊へ配備された。戦闘攻撃任務と共に、訓練にも使用されている。

 外見的な特徴として、空自の航続距離・兵装搭載量の要求を満たすために、ベースとなったF-16より一回り大きくなった胴体・主翼や、 低空飛行時のバードストライク(鳥の衝突)に対処した三分割キャノピーなどが挙げられる。主翼は旋回性能向上のために、 炭素系複合材による一体構造を採用し、翼面積の拡大を図った。エンジンは離着陸性能向上のために大推力とし、機体大型化による重量増を避けるため、 ハイテク材料・構造技術を豊富に採り入れることで軽量化に成功した。航空電子機器(アビオニクス) は統合電子戦システムや機上コンピューターなどに 日本製の最新技術を用いた機器を装備している。また、アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーやCCV(運動性優先航空機)技術、ステルス性向上の ための電波吸収材を導入、航空自衛隊では初となるフライ・バイ・ワイヤー(FBW)式サイドスティックが採用されている。

 F-1で問題となっていた機動性は、ベースとなったF-16に勝るとも劣らない程と言われ、防空任務も十分に行なえる性能を有している。 運動性や航続距離、搭載可能重量など、様々な面でF-1より優れており、特に航続距離が伸びた事による作戦可能エリアの拡大は、搭載される 誘導弾の射程や性能が向上した事に合わせ、大きな意味を持っている。また、対艦ミサイルを4発搭載可能な戦闘機は世界的に見ても少なく、 この点では世界トップクラスである。

 空自においては1970年代以降、航空機に正式な愛称をつける習慣を持っていないが、「エフに」や「エフツー」と呼ばれる。 空自パイロットなどの間では「バイパーゼロ(VIPER ZERO)」とよばれることもある(バイパーはF-2のベースとなったF-16の非公式の愛称で、 ゼロは量産機が納入された西暦2000年、すなわち採用年の下2桁を形式名称とする命名法と、最も有名な日本製戦闘機である零戦を掛けたといわれる。 ここから航空雑誌では「平成の零戦」といった呼び方もされる)。
仕様・諸元
全長 15.52m
全幅 11.1m
全高 4.96m
空虚重量 9,527kg
発動機 IHI/GE F110-IHI-129ターボファンエンジン×1
最高速度 M2.0
航続距離 約4000km
武装 ・M61A1 20mm機関砲 1門(搭載弾数/512発)
・自衛用短射程空対空誘導弾×4
・空対艦誘導弾×4 または 500ポンド爆弾×6
配備基地 ・三沢基地 - 第3航空団 第3飛行隊
・松島基地 - 第4航空団 第21飛行隊
・浜松基地 - 第1術科学校
・岐阜基地 - 飛行開発実験団(XF-2)
・築城基地 - 第8航空団 第6飛行隊