C−2(川崎重工業)



 C-2は、日本の航空自衛隊が保有する輸送機。 C-1の後継機として防衛省技術研究本部と川崎重工業がC-Xの計画名で開発し、川崎重工業が製造する。  配属先の美保基地では Blue Whale(シロナガスクジラ)の愛称が付与されている。

 防衛庁(現防衛省)では、国産のC-1(25機)と輸入したC-130H(16機)を戦術輸送機としているが、C-1が耐用飛行時間を迎えるため、後継が検討された。  日本国内の航空産業の技術育成の観点から、2000年(平成12年)末に中型戦術輸送機の国産化を決定、MPA/P-X(P-1固定翼哨戒機)と同時に開発し、一部部品や治工具の共用によって両機種あわせた開発費を抑えることとされ、その額は両機合わせて3,400億円と見込まれた。

 開発計画は、設計が平成13年度〜16年度、試作が平成15年度〜21年度、試験が平成18年度〜23年度(2012年3月まで)、契約は毎年度ごとに「その1」から「その7」まで7段階、総開発費は若干増額されて3,450億円とした。  三菱が中胴と後胴、富士重工が主翼と垂直尾翼の開発・分担製造を担当している。中型機2機の同時開発と部品共通化は世界的にも珍しい。

 防衛省は2017年3月27日、C-2の開発を完了したと発表した。 3月28日には鳥取県美保基地の第3輸送航空隊 第403飛行隊にC-2が3機配備され、3月30日には配備を記念した式典が行われた。  2018年9月まで運用試験を実施し、2020年2月現在では第403飛行隊にて量産機8機が人員や物資の航空輸送など各種任務に使用されている。

 C-2は戦後日本が自主開発する機体としては過去最大のサイズとなる。 機体はターボファンエンジン双発、主翼は高翼配置、尾翼はT字タイプ、胴体後部に貨物出し入れ口を設け、主脚は胴体下部にバルジ(膨らみ)を設けて収納する等、現行のC-1と同様の形式であるが、サイズ・性能共にC-1を凌駕しており、C-1と比較し全長は1.51倍、全幅は1.45倍、全高は1.42倍、空虚重量は2.5倍、最大積載量は3.75倍、最大速度は1.2倍、エンジン合計推力は約4.24倍となっている。  また航続距離は、C-1が有効積載量2.6t搭載時に約1700km、C-130Hは5t搭載時に約4,000kmなのに対し、XC-2は12t搭載時に約6,500kmである。
仕様・諸元
全長 43.9 m
全幅 44.4 m
全高 14.2 m
空虚重量 60.8 t
最大積載量 32 t
発動機 GE・アビエーション CF6-80C2K1F × 2基
最高速度 917 km/h(マッハ 0.82)
航続距離 空荷時:9,800 km
積載重量20 t時:7,600 km
積載重量30 t時:5,700 km
最短離陸滑走距離 500 m