C−1(川崎重工業)



 C-1は、日本の航空自衛隊が保有する中型戦術輸送機である。

 機体は、軍用輸送機としては標準的な形態であり、高翼配置にT字尾翼、胴体のバルジ(膨らみ)に主脚を収容している。 YS-11と違い、噴射式のターボファンエンジン(ボーイング727やDC-9と同じエンジン)を採用し、これを主翼のパイロンに2基搭載している。 この強力なエンジンによって、C-1は600メートルの滑走路で離着陸が可能であり、高空での高速性能にも優れている。 また中型機であるにも関わらず、空中で機体を大きく傾けて急旋回が可能な高機動能力を持つ。

 ペイロードは、通常人員なら60名、完全武装の空挺隊員ならば45名(1個小隊)、床に金属ロッドを立てて担架を取り付けると36名の患者を輸送できる。 車両ならば、ジープクラスの小型車3台を搭載可能である。後部の貨物ドアの一部分は傾斜ランプを兼ね、飛行中にも開くことが可能である。 ここから空挺降下や、パレットに搭載した貨物(榴弾砲やジープを含む)の空中投下を短時間・効率的に行うことができる。

 塗装は、初期は全身銀色であったが、後に量産機は迷彩色に塗り替えられ、岐阜基地の飛行開発実験団(ADTW)に配備された1号機C-1FTBのみ 現在も全身銀色である。C-1量産機のうち1機は後に電子戦訓練機EC-1に改造され、入間基地の総隊司令部飛行隊に配備されている。 なお、ADTWのC-1FTBは2004年(平成16)からP-X用に開発された新エンジンXF7-10を搭載しての実験飛行にも利用された。
仕様・諸元
全長 29.0 m
全幅 30.6 m
全高 9.99 m
空虚重量 約8,000 kg
最大積載量 24,250 kg
発動機 P&W JT8D-9 軸流式ターボファンエンジン × 2基
最高速度 約815 km/h(マッハ 0.76)
航続距離 空荷時:1,300 km
積載重量6.5 t時:1,180 km
積載重量8 t時:810 km
最大離陸重量 12,490 kg