TEJAS(HAL,ADA)



 テジャスは、アメリカなどの技術協力を受け開発されているインドの国産戦闘機である。 LCA(Light Combat Aircraft:軽戦闘機)の名称も知られている。 1980年代から開発を開始しており、2001年に初飛行を達成、 旧式のMiG-21の代替を予定している。 かつて1998年の核実験に対する米国の経済制裁を受けたことや技術不足などの要因が重なり開発が難航してきたが、2011年に実用化した。 「テジャス」とはサンスクリットで「火」を意味し、 「光り輝く」との意味も備える。

 インドは1960年代にマルートを開発して以降国産ジェット戦闘機の開発をしてこなかったが、1985年に当時のインド首相ラジーヴ・ガンディーによりアメリカと協力して新型の戦闘機を開発することが発表された。 インド海軍向けの 艦上機型の開発も行われており、こちらは2011年9月26日に初飛行した。 開発参加企業・組織には、インドのHAL(Hindustan Aeronautics Limited、ヒンドゥスタン・エアロノーティクス)、インド航空開発庁(Aeronautical Development Agency、ADA)、 国防研究開発機構を始めとし、さらに米国のロッキード・マーティン、ゼネラル・エレクトリック、フランスのスネクマなどが加わっている。

 主翼は無尾翼のクランクドデルタ翼を採用している。 静的不安定を有した機体であり、四重のフライ・バイ・ワイヤによって制御されているが、機体の制御用ソフトウェアの開発に一時期手間取っていたようである。  また、コックピットはグラスコックピット化されており、従来の機械式の物より多くの情報をパイロットに提供可能である。 暗視ゴーグル対応照明を装備されHOTAS概念が導入されている。 全長13m台前半、ウィングスパン8m台前半に 収められたコンパクトさに加えて、機体全体の40%以上に先進複合材を使用しており、重量の軽減を図っている。 最高速度は資料によってはマッハ1.7、もしくはマッハ1.8と予想されているが、アフターバーナーなしでマッハ1以上の 速力を発揮するスーパークルーズは不可能と見られている。 2,000〜2,500万ドルの安価な戦闘機とする事を目標としているが、その価格を実現できるかは危ぶまれている。

 LCAは複数のエンジンを選択している。 試作機にはF404-F2J3エンジン、初期量産型40機にはF404-GE-IN20を搭載しており、量産機にはF404シリーズの改良・発展型にあたるF414-GE-INS6エンジンが搭載される。 当初は国産の GTRE GTX-35VS カヴェリエンジンが完成し次第、搭載エンジンを変更し純インド製戦闘機とする方針となっていたが、開発の度重なる延滞から計画は中止された。

 火器管制レーダーとしては、当初は電子・レーダー開発局とHALハイデラバードが共同で開発するMMRが搭載される計画であった。 しかし開発遅延に伴い、現在ではイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ社のEL/M-2032が 搭載されている。 これは海軍のシーハリアー FRS.51にも搭載された、空対空、空対地、空対艦モードを持つXバンドのパルス・ドップラー・レーダーであり、複数の目標を追跡、走査中の追跡、地上マッピングなどの機能を有し、 ルックダウン/シュートダウン能力も有するとされている。

 LCAは固定武装としてGSh-23機関砲を搭載する。 主翼に3つずつ、さらに胴体下に1つ、左空気取り入れ口トランク下の合計8つの機外ハードポイントを持ち、最大で4,000kg/8,800lbの兵装、及び増槽または電子戦ポッドを搭載可能 である。 2007年10月27日にR-73の発射試験に成功しており、これに加えて国産のBVRミサイルアストラを搭載する予定である。 この他にも空対空、空対地、空対艦の各種ミサイル、ロケット弾ポッド、電子戦ポッドの搭載が予定されている。
仕様・諸元
全長 13.20 m
全幅 8.20 m
全高 4.40 m
空虚重量 5,500 kg
発動機 GE製 F404-GE-F2J3 , GE製 F404-GE-IN20 , GE製 F414-GE-INS6
最高速度 M 1.8
航続距離 約850 km
実用上昇限度 15,250 m
最大離陸重量 12,500 kg
武装 固定武装:GSh-23 23mm機関砲 他