ヴェクラント
ヴィクラントは、インド海軍の航空母艦である。 現在インド海軍が推進しているADS(Air Defence Ship(防空艦))計画の1番艦で、インド初の国産空母である。 STOBAR空母であり、同級2隻を含めた計3隻の建造が予定されている。
艦名の「Vikrant」とは先代の同名空母と同じくヒンディー語で「勇敢な」「強い」の意味であり、艦のモットーも、先代から継承している。
本艦は元々は先代「ヴィクラント」の後継艦として推進されていたが、1990年頃に予算不足で立ち消えになった国産空母建造計画がベースとなっている。 建造計画が白紙になった後、先代「ヴィクラント」が退役してインドの保有空母が「ヴィラート」1隻のみとなったことによる洋上航空兵力の低下を受け、建造計画を見直した上でADS(Air Defence Ship(防空艦))計画として復活し、IAC-1(Indigenous Aircraft Carrier 1、国産空母1号)の計画名で建造されることとなった。 当初は満載排水量17,000トン程度の軽空母を建造する計画だったが、度重なる計画見直しにより最終的には満載排水量45,000tの通常動力型としては比較的大型の空母に拡大した。 また当初、艦載機にはハリアー IIを想定していたが、後にMiG-29Kを搭載するSTOBAR方式の空母に設計が変更された。 これはインド海軍のSTOVL機運用経験や「ヴィクラマーディティヤ」の導入経緯が影響していると言われている。 ヴィクラントの設計は、インド海軍設計局 が、フランスのDCNS社とイタリアのフィンカンティエリ社の協力のもと行われた。 フィンカンティエーリ社は、イタリア海軍の軽空母「カブール」やイギリス海軍のクイーン・エリザベス級航空母艦の設計も行っており、これらに似たデザインとなっている。 甲板の数は、艦底から艦橋まで14層である。 当初、鋼材はロシア製のAB/Aグレード鋼を用いる予定だったが、納入の遅れから国防材料工学研究所とSteal Authority of India社が共同で開発した鋼材設備で同レベルの鋼材を製造することとなり、ヴィクラントはインド国産の鋼材のみで建造される初の軍艦になる。 主機は、LM2500ガスタービンエンジンを4基搭載する。 ガスタービンエンジンはイタリアの造船メーカーフィンカンティエリ社が設計した航空母艦でも採用されている。 なお、LM2500はインドでライセンス生産されたものを搭載する。 艦首に発艦用の傾斜角14度のスキージャンプ、船体後方から左前方へ伸びる着艦用のアングルド・デッキにアレスティング・ギア、右舷のアイランド前後にデッキサイド式エレベーターは1基ずつ装備している。 なお、6カ所のヘリコプター発着スポットをロシア海軍と同様に塗装している。 艦載機は、MiG-29K/MiG-29KUB艦上戦闘機20機とKa-28級艦載ヘリコプター10機を搭載するが、最大で40機まで搭載可能とされる。 MiG-29Kは最新のRD-33MKエンジンと対地・対艦攻撃が可能なN010「ジュークME」火器管制レーダーを搭載する改良型のMiG-29K(9.13)で、ヴィクラマーディティヤに搭載されている。 なお、MiG-29KUBはMiG-29K(9.13)の複座型のMiG-29KUB(9.47)である。 ヴィクラントにはヒンドスタン航空機国産のテジャスMk1の艦載機型も搭載する予定だったが、同機は開発遅延と重量過大で2016年末に不採用となったため、MiG-29Kと複座型のMiG-29KUBのみが搭載されることとなる。 ヘリコプターは、Ka-31早期警戒ヘリコプターやKa-28対潜哨戒ヘリコプター、Ka-28の後継として2014年に16機が輸入されたS-70B対潜哨戒ヘリコプター、さらに旧式のMk.42シーキングを搭載する。 |
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艦 歴 |
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起工 | 2009年2月28日 |
進水 | 2013年8月12日 |
就役 | 2022年9月2日 |
退役 | − |
母港 | |
仕様・諸元 |
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排水量 | 満載排水量:40,662 t |
全長 | 262.5 m |
全幅 | 62 m |
喫水 | 8.4 m |
機関 | LM2500ガスタービンエンジン × 4基(120,000hp) |
最大速 | 28 ノット |
航続距離 | 8,000 海里 |
乗員 | 1,656 名 |
兵装 | ・バラク短SAM VLS × 32セル ・AK-630 CIWS × 4基 |
艦載機 | 40 機(固定翼:MiG-29K、MiG-29KUB、回転翼:Ka-31、Ka-28、S-70B等) |