HUNTER(イギリス/ホーカー・シドレー社)



 ハンター(Hunter)とはイギリスの航空機メーカーホーカー・シドレー社で開発され、各国で使用されたジェット戦闘機である。

 開発は1948年にイギリス空軍の戦闘機であるミーティアの後継機として開始され、1951年にロールスロイス製のジェットエンジンエイヴォンを搭載した機体が 初飛行しハンターと命名され1954年から部隊配備が開始された。設計は、ハリケーン以来ホーカー社の設計主任となっていたサー・シドニーカムが行った。 ハンターは機動性が良く、ADEN30mm機関砲を4門搭載し火力も強力であった。初期型ではトラブルも続出したが、改良されたエイヴォンを搭載したF.4型以降は 元来の堅実な設計も相まって非常に信頼性に富んだ機体となった。

 ハンターが登場した時期にはアメリカ合衆国やソ連で超音速の機体が開発・実用化されつつあり、亜音速のハンターは速度の面では同時期の機体に劣っていた。 しかし、低空での機動性の良さや兵装の搭載量が多い点を買われ、対地攻撃機として運用された。また、ベルギー、オランダ、スウェーデン、スイス、インド、 ペルー、シンガポール、レバノン、オマーン、クウェート、ローデシア(のちジンバブウェ)、ソマリア、ケニア、チリ等多くの国で使用され、印パ戦争の際は、 インド空軍のハンターがパキスタン空軍のF-86セイバーやF-104スターファイターと交戦し、ヨルダン空軍やイラク空軍のハンターは、六日戦争及びヨム・キプール 戦争の際イスラエル空軍のミラージュVと交戦した。レバノン空軍のハンターは、レバノン内戦に出動したがイスラム教ドルーズ派民兵によって撃墜されている。 チリ空軍のハンターは、1973年9月11日にクーデターを起こしたピノチェト将軍側に立ち、アジェンデ大統領が立てこもる首都サンティアゴのモネダ宮殿(大統領官邸)を 空爆した。

 主翼を改良しリヒート付きエイヴォンを搭載した超音速型ハンターも計画されたが、試作機を製作中の段階で、より高速を目指すP1(後のイングリッシュ エレクトリック・ライトニング)の計画が存在したため、予算の制約から超音速型ハンターの開発は中止されてしまった。
仕様・諸元
全長 14 m
全幅 10.3 m
全高 4.01 m
総重量 11,158 kg
発動機 ロールスロイス社製 エーボンMk207ターボジェット × 1(推力4,600 kg)
最高速度 1,130 km/h
航続距離 1,850 km(増槽使用)
武装 ・アデン30mm機関砲 × 4(各弾数150)
・AIM-9サイドワインダー、AGM-65マベリック、マトラSENBロケットポッド、燃料増槽等を搭載可能