Buccaneer(イギリス/ブラックバーン社)



 バッカニア(Buccaneer)とはイギリスの航空機メーカー、ブラックバーン社が開発し、イギリス海軍及び空軍によって使用された複座艦上攻撃機である。 なお、名称のバッカニアとは、大航海時代に国の許可を得て敵国の略奪を行った海賊達のことである。一部のパイロット達には、その機体形状から 「バナナ・ボマー」の愛称で親しまれた。

 バッカニアは、敵のレーダー網をくぐり抜ける為に低空を高速で飛行し、敏捷な運動性と高い機体強度を兼ね備え、全天候能力を持たせた機体という海軍の 要求に基づき1955年に開発が開始された。 バッカニアは低空の乱気流の中を飛行し戦闘での生存率を高める為にエンジンを2基搭載し、胴体にエリアルールを採用した。また、爆弾等の攻撃兵器を主翼や 胴体の下に吊り下げて搭載せずに、機内の爆弾倉に搭載することにより空気抵抗を減らすことに努めた。艦載機にとっての課題である航空母艦への発着艦は、 主翼と尾翼に空気噴出し式の境界層制御装置を採用することにより大迎角での失速を防ぐ工夫がなされていた。垂直尾翼から後方の胴体はエアブレーキも兼ねており、 使用時は左右に展開する。 このように数々の新機軸を採用しつつもバッカニアは音速に達する事が出来ない遷音速機であった。

 バッカニアはブラックバーン社によって開発され、1958年に初飛行した後、長期間の実用テストを経て1961年からスーパーマリン・シミターと交代する形で 部隊配備が開始された。その後、ブラックバーン社がホーカーシドレー社に吸収合併された為、バッカニアの整備や改良型の生産はホーカーシドレー社に よって行われた。 やがて、空軍で開発中の超音速爆撃機、B.A.C. TSR-2の開発が労働党政権により中止とされると、老朽化したキャンベラの代替として空軍にも配備されるようになった。 その後、イギリス海軍は航空母艦の全廃を決定し、CTOL空母を運用しなくなったため、海軍に配備されたバッカニアは全て空軍に移管された。 バッカニアの唯一にして最後の実戦参加は1991年に勃発した湾岸戦争であり、トーネードIDSが投弾したレーザー誘導爆弾を誘導する任務に就き、低空での危険な 行動が多かったため損害もあった。湾岸戦争後の1994年3月31日に、バッカニアは長い現役生活に終止符を打ち退役した。
仕様・諸元
全長 19.33 m
全幅 13.41 m
全高 4.95 m
空虚重量 13,600 kg
発動機 ロールスロイス社製スペイRB168-1A Mk101ターボジェット × 2(推力5,035kg × 2)
最高速度 1,110 km/h
航続距離 1,040 km
武装 ・サイドワインダーAAM × 1
・ペーブウェイレーザー誘導爆弾 × 2
・マーテルTV誘導対地ミサイル × 1
・シーイーグル対艦ミサイル × 4
・AS-302対地ミサイル × 4
・ロケットポッド × 4
・454kg通常爆弾 × 4
・増加燃料タンクなど最大7,300 kgの兵装搭載可能