殲撃九型(成都飛機工廠)



 FC-1 (Fighter China) またはJF-17 (Joint Fighter) は、中華人民共和国とパキスタン・イスラム共和国が共同開発した単座式全天候型多目的戦闘機である、 別名を 殲撃九型 と言う。中国では「梟龍」、パキスタンでは「Thunder」(雷)が愛称となっている。 成都で開発されている殲撃10型とは別に、1980年代よりアメリカ合衆国やロシア共和国技術支援により開発された第4世代機である。

 中華人民共和国では、長らくMiG-21の流れを汲むJ-7を生産し自国の人民解放軍で運用するとともに、これを安価な戦闘機として中小国家に輸出してきた。しかし1980年代に入ると、 J-7は自国の防空戦闘機としても、あるいは輸出商品として見ても性能の陳腐化が目立つようになったため、アメリカ合衆国の航空機メーカーグラマンの協力のもと、優れた西側の技術を 取り入れJ-7をベースとした新たな戦闘機Super-7(超七)を開発する計画が始められた。だが、その直後に起こった第二次天安門事件の影響によりアメリカはじめ西側からの技術提供が 打ち切られ、計画は暗礁に乗り上げた。 ここで手を差し伸べたのが、中ソ対立の解消後関係改善が進みつつあったロシア共和国である。ロシアの協力により、Super-7計画はミコヤン設計局の小型戦闘機計画に相乗りする形で 進められることになった。この計画は1980年代半ばにMiG-29の単発小型化案「MiG-33」として開発が進められていたものである。後にロシア側の軽戦闘機計画は中止されるが、 中国とロシアの協議によりSuper-7にMiG-31のレーダー技術とMiG-29に搭載されたエンジン、クリーモフRD-33の改良型を投入することが取り決められた。これによってSuper-7は 新たにFC-1と名前を変えて開発を再開し、作業は中国第132航空廠が担当することになった。エア・インテークの改設計はミコヤン設計局から技術援助を受けて成功し、水平尾翼もF-16の ものを参考にしつつMiG-29の技術を応用して、より大きな角度で作動できるようになるなど、機体各部にMiG-29の技術が取り入れられた。2003年9月3日に初飛行を行い、2005年に 試作機4機完成という状況に至っている。

 J-7の機首にあったインテークは電子機器搭載スペース拡大のため機体側面に移り、機体各部もJ-7より空力的に洗練された。操縦方式はフライバイワイヤ、大型化・高性能化が図られた 中国国産のレーダーによって視界外攻撃能力を獲得した。 エンジンはロシアのクリーモフ製RD-93の単発であり、エンジンの全量をロシアから輸入している。 武装としては新型のPL-12などの中距離レーダーホーミングミサイルをはじめとした各種空対空ミサイル、および空対地・空対艦ミサイル、誘導爆弾や通常爆弾を搭載できる。 ハイ・ローミックスのロー側を担当する殲撃10型の戦力化が進む人民解放軍空軍には導入されないだろうが、価格は1機1500万ドルとされ比較的に安価であることから、共同開発相手の パキスタン空軍や、発展途上国のMiG-21やF-5の代替として積極的に輸出が図られるものと思われる。
仕様・諸元
全長 14.96 m
全幅 9.46 m
全高 4.77 m
空虚重量 6,411 kg
発動機 クリーモフRD-93 ターボファンエンジン ×1
最高速度 M 1.6
航続距離 2,037 km
武装 ・PL-12中距離空対空ミサイル、など