殲撃八型U(瀋陽航空廠)



 J-8U(殲撃八型U、Jian-8U)は、中華人民共和国で開発された戦闘機である。NATOコードネームは「フィンバックB」(Finback-B)。輸出名は、F-8U。

 J-8の発展型で、J-8と同様に瀋陽の第601航空機設計所によって設計、瀋陽航空廠(SAF:Shenyang Aircraft Factory、現在の瀋陽航空機工業(SAC))によって製造された。 不十分な性能であったJ-8の改良型として1982年より開発が開始され、1984年に初飛行に成功した。機首のエアインテークを機体側面に移動し、ショックコーンを大型化した。

 当初、性能に難があったレーダーを装備していたが、アメリカの協力によりF-16Aと同じAN/APG-66と交換する前提で製造が開始された。しかし、天安門事件により、計画中止となったため、 国産レーダー装備のJ-8B、空中給油機からの受油機構を組み込んだJ-8Dへと発展した。この過程においても、有視界外戦闘能力は欠如していた。

 1996年、輸出向けに公開された機体が、F-8UMである。ロシア製レーダーによってR-27中距離空対空ミサイルとKh-31対艦ミサイルを運用可能としていた。 顧客を得ることは出来なかったものの、この経験により改良型のJ-8H/Fが開発されることとなった。J-8Hには、新型のレーダーとエンジンが、その後に開発されたJ-8Fにはグラスコクピット とさらに改良されたエンジンが搭載され、J-8Fは中距離空対空ミサイルの試射に成功している。両機種とも、Q-5の後継機候補の一つとしても考えられているが、未だ量産には至っていない。

 2001年4月1日、海南島事件にてアメリカ空軍のEP-3Eと衝突した機体が、このJ-8U(J-8D)であるが、しばしば輸出型名称F-8UからUを除き、単にF-8として報道された。そのため、 日本のテレビ報道ではアメリカ製のF-8戦闘機の画像が流されるなどの混乱も見られた。
仕様・諸元
全長 21.52 m
全幅 9.34 m
全高 5.4 m
空虚重量 9,240 kg
発動機 渦噴13A2ターボジェットエンジン × 2
最高速度 2,340 km/h
戦闘行動半径 800km
武装 ・23 mm機関砲 × 1
・PL-5、PL-8、爆弾、ロケット弾、増槽