サン・パウロ



 サン・パウロ(Sao Paulo)は、ブラジル海軍の航空母艦である。艦名は同国のサン・パウロ州またはその州都であるサン・パウロ市に由来する。現在、ブラジル海軍の旗艦であり、この名を 冠したブラジル海軍艦としては4代目。モットーは"Non ducor, duco" 「我は導かれず。我こそが導く」であり、サン・パウロ市並びにかつてこの名を冠していた戦艦サン・パウロのモットーと 同じである。

 元はフランス海軍の空母フォッシュである。ブラジル海軍の前任空母ミナス・ジェライスは、第二次世界大戦時の建艦であったため老朽化が進んでおり、1990年代頃からその後継艦を どうするかという問題が重要になってきた。自国での新規建艦案も検討されたが、推定で完成までに5億USドルもの予算と8年もの期間が必要であることなどから、ミナス・ジェライスと同じく 中古空母の購入にてまかなわれることとなった。

 対象となったフランス海軍空母フォッシュは1957年から1960年にかけて建艦されたクレマンソー級航空母艦2番艦であり、予定されていた退役時期を数年残して2000年の9月におよそ 1200万USドルでブラジルに売却された。同年11月15日にフランスのブレスト港にてブラジルに引き渡されると同時にブラジル海軍に編入されている。数ヶ月の修理後、16日かけて大西洋を 横断し、2001年2月17日にリオデジャネイロ市に到着した。 サン・パウロとしての最初の3年の間にこの艦は様々な任務を遂行しており、その幾つかはARAEXやTEMPEREXのような海外合同作戦であった。その作戦に置いて、ベインティシンコ・デ・マヨが 退役して以来空母を保持していないアルゼンチン海軍の艦載機、シュペルエタンダールやS-2Tターボトラッカーの空母上での運用訓練がサン・パウロ艦上で行われた。軍が予算削減の問題に 面している一方で、この艦は今のところ作戦可能状態を維持している。

 本艦はミナス・ジェライスに比べて速度は50%増、搭載可能機数は倍加しており、ブラジル海軍の機動部隊の中核をなしている。艦名として NAe Sao Paulo と記載されるが、NAeは 所属海軍を表しているのではなく、ポルトガル語で空母を意味する"Navio-Aerodromo"の頭文字である。ミナス・ジェライスの場合 NAeL Minas Gerais であり、軽空母を意味する "Navio-Aerodromo Ligeiro"だったが、サン・パウロでは軽(Ligeiro)という語が無くなっており、名実共に正規空母である事を示している。 現在のところ航空母艦もしくは飛行甲板をもった揚陸艦を所有する9ヶ国(アメリカ・イギリス・イタリア・インド・スペイン・タイ・フランス・ブラジル・ロシア)の中で、CTOL機の運用能力を 持つ空母を持つのは4ヶ国のみ(ブラジルの他アメリカ・フランス・ロシア)であり、サン・パウロを有するブラジルもその一つである。他の5ヶ国は全てSTOL/VTOL機のみ運用が可能となっている。
艦 歴
発注    
起工    
進水    
就役    
退役    
母港    
仕様・諸元
排水量 基準排水量:30,884 t
満載排水量:33,673 t
全長 265 m
全幅 51.2 m
喫水 8.2 m
機関 ディーゼルエンジン6基、蒸気タービン4基(126,000 hp)
最大速 30 ノット
航続距離    
乗員 1,700 名(航空要員670名含む)
兵装    
艦載機 AF-1 ファルカン 10〜16機
SH-3 シーキング 4〜6機
UH-13 エスキーロ 2機 または UH-14シュペルプーマ 3機
愛称